飲み過ぎてしまったら… ~二日酔い対策・対処法・飲酒計画~
お酒の基礎知識
今回は、酒呑みの宿命ともいえる二日酔いについて。合わせて、できるだけ身体に負担をかけない日々の飲酒計画の立て方も解説します。
そもそも、悪酔いしないためにはどうすればいいか。を前回、前々回にまとめましたので、こちらもぜひいっしょに読んでみてくださいね。
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寝酒は睡眠の質が悪化。シャワーだけにしてお風呂はガマン。
まずは、「ちょっと飲みすぎたかな」というときの対処法から。
お酒を飲んだ日は、浴槽に浸からずできるだけシャワーで済ませましょう。というのも、お酒を飲んでリラックスするのは、血管が拡張するからという要素が大きいんですね。つまり血圧が下がります。そしてこれが、お風呂に入ってしまうとさらに下がって、脳貧血のリスクとなってしまうのです。
さらに熱いお湯だと、低くなった血圧が一気に上昇して、動悸やめまいを覚える、いわゆる“ヒートショック”を引き起こすことも。それが脳梗塞や心筋梗塞の引き金になることもあるので、じゅうぶんに気をつけなければいけません。同じ理由でサウナもNG。
特に飲みすぎた日は、ぬるめのシャワーで済ませるか、入浴自体を次の日に回してしまったほうがいいでしょう。
寝酒も極力控えましょう
寝酒を飲んだほうが深く眠れる、という人。気持ちとしてはそんな気がしても、身体は実際には寝不足です。
これは、就寝直後に深い眠り(ノンレム睡眠)がすぐに訪れ、それが比較的長く続くのでよく眠れたような気がするだけ。そのあとには浅い眠り(レム睡眠)が長くなるので、睡眠全体のリズムが崩れて、自律神経が乱れる原因にもなります。深酒も同様です。
しかも、肝臓がアルコールを分解しきるには約4時間かかると言われています。寝酒をすると、ひどい場合には肝臓が徹夜で稼働しないといけないことになってしまうのです。
二日酔いってけっきょく何?
そしてやって来ました二日酔い。朝起きると頭が割れるように痛い、もしくは酔いが抜けておらずボーっとする。アレ、どうにかならないんですかね?
そんな二日酔いですが、実は科学的には解明されていないことが多いのだそう。
アルコールを分解する過程で生じる“アセトアルデヒド”が原因だ、という説を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、二日酔いの症状を訴える人の血中を調べても、アセトアルデヒドはほとんど検出されないということがわかってきたのです。
迎え酒はNG
二日酔いとは「アルコールに対する軽い禁断症状なのではないか」という説も近年持ち上がっています。夜中に酒を飲むとすぐ眠れるけれど、目が覚めると今度は逆に眠れなくなる・・・などの症状が、アルコール依存症の場合と似ているというのです。
これはあくまで一説ですが、ここから説明できるのが“迎え酒”。二日酔いのときにさらに酒を飲むと、禁断症状が解消されるので一時的にスッキリする、というわけ。言わずもがなですが、迎え酒はさらに悪酔いを助長するだけなのでやめましょう。
二日酔いの具体的な対処法
リセットには丸二日かかる
二日酔いは思っていた以上に深刻な症状なのかもしれない――。ということがわかってきたところで対処法に移りましょう。
まずご理解いただきたいのは、ひとたび二日酔いになると、「リセットに丸二日かかる」ということ。ただでさえ肝臓に過剰な負担がかかっているのですから、飲みすぎた次の日だけでなく、その次の日も休肝日にすることをおすすめします。
つい飲みすぎて二日間お酒を飲めなくなるくらいなら、はじめから二日酔いにならないよう酒量をセーブし、飲み方にも気をつけるに越したことはありません。
水分&糖分を補給して
「水分と糖分を良く摂って、できるだけ安静にしておくこと」。これが、二日酔い対策の基本です。
アルコールには利尿作用があるので、特に飲みすぎたあとには水分が大量に失われ、身体が脱水症状を起こしていることも。寝る前と起きた後には、コップ1~2杯の水を飲むようにしましょう。
水分を効率よく補給できるスポーツドリンクもよいですが、二日酔い時には血糖値が下がっているので、それをケアできるオレンジジュースもおすすめです。水分摂取量は、一日で二リットルを目標に。
食事はできれば普通に食べる
体温を上げて代謝を高め、アルコールの分解を助けてあげましょう。食物繊維多めの野菜と、青魚が特におすすめ。お米などの炭水化物も普通に摂りましょう。ご飯を炊いて、冷蔵庫の残り物で具沢山の味噌汁を作って食べるだけでも、かなり楽になるはずです。
どうしても普通の食事を受けつけない、という場合はサプリメントに頼るのも手です。疲労感の軽減をサポートするビタミンB1や、肝臓にうれしい成分が多く含まれているしじみのサプリが良いでしょう。
飲酒量は週単位で考えて
最後に、飲酒計画について。できるだけ快適なお酒を多く楽しむための、計画の立て方をご紹介します。
週一回の大酒か、週七のちょい飲みか
これはわりとよく見かける問題なのですが、上記の二日酔いのことを考えると、答えは後者と言わざるをえません。しかしそれよりも有益なのが、「飲酒量を週単位で考える」ということ。
前々回の『酔いとは何か』の記事でも書いたのですが、厚生労働省は、日本人の一日当たりの適度な飲酒量を、「純アルコール量20g(女性はその1/2から2/3)」と設定しています。
これはおおよそ、ビールのロング缶なら1本、日本酒なら1合に相当します。この量で収まるならそれに越したことはないのですが、人との付き合いやどうしても飲みたいときに我慢するのは、せっかくのお酒なのにむしろストレスが溜まってしまいそうです。
純アルコール量を一週間単位で把握
お酒はどちらかというと飲み続けること、つまり分解されていないアルコールが体内にあり続けることで負担になる傾向があります。なので、先述の純アルコール量を頭の片隅に留めておきながら、その許容量を一週間単位で管理するイメージをもつのがおすすめです。
年末年始など、酒量がどうしても増えてしまう月の場合は、一ヵ月単位でもいいでしょう。
数字でがんじがらめに縛るのではなく、「ここのところ飲みすぎだから今日はちょっと少なめにしよう」というペース配分の目安として数字を使うことが大切です。
具体的な方法としては、手帳の空きスペースに、ビール2杯、日本酒1合――など、飲んだ杯数を憶えている範囲でいいので書いておくのはどうでしょう?
規則正しい生活が一番!
身もフタもない結論になってしまいましたが・・・これは真理です。なぜなら、アルコールを代謝する酵素は、自律神経が分泌をコントロールしているから。交感神経は興奮や活動を司り、逆に副交感神経はリラックスと眠りに作用する、というやつですね。このリズムが整っていないと、肝臓がここぞというときに本来のパフォーマンスを発揮してくれません。
自律神経を整えるには、「朝起きて夜寝る」という人間本来の生活リズムが基本。休日でも、ふだんの起床・就寝時間を二時間以上ずらさないのが良いとされています。最後になりましたが、「飲み会が決まっている前日はよく寝ておく」のは、酔い対策にも効果てきめんです。
取り入れやすいものから実践を
三回にわたってご紹介してきた酔い対策、いかがでしたか? 理由や考え方とともに、できるだけ取り入れやすいものをご紹介してきたつもりです。科学的に“諸説ある”部分もまだまだ多いので必ず効果を保証するものではありませんが、とにかく何か試して、効果を実感できたものはぜひ続けてみてくださいね!
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