酒造りに持てる気持ちの全てを投じる。「人の手を掛ける」本物の酒造り。-新潟県 DHC酒造-
酒造・メーカー紹介
DHC酒造の歴史
『110年以上の歴史を誇る、DHCグループの酒造』
新潟市北区にある「DHC酒造」は、あの化粧品・健康食品メーカー「DHC」のグループに所属している酒蔵です。そう聞くと、比較的新しい蔵と思うかもしれないですが、じつは、創業から110年以上もの歴史を持っている老舗です。
代表銘柄は、「越乃梅里(こしのばいり)」。1983年(昭和58年)の発売以来、愛されつづけてきた地酒です。
ほかにも、「嘉山(かやま)」「朝日晴(あさひばれ)」「悠天(ゆうてん)」といったブランドを展開。どれも、若い世代にも親しみやすい味わいに仕上がっており、百貨店でも好評を得ています。
それぞれの銘柄は、全国各地の酒販店だけでなく、母屋を改装した販売所「越後の里 嘉山亭」でも購入可能。趣ある店内では、試飲カウンターも用意されており、訪れた人は、豊富なラインナップを試しながら、土産品を選んでいます。
受賞多数!その秘密は「人の手」
「DHC酒造」は、「全国新酒鑑評会」などのさまざまな品評会にて、多数の受賞歴を誇っています。
中でも、1995年(平成7年)の「関東信越国税局 酒類鑑評会」では、酒席第一位にあたる「最優秀賞」を獲得しています。
全国屈指の高品質酒を醸造できる秘密は、「人の手を掛けること」。
玄米処理などには最新機器を使いつつも、麹造りや醪(もろみ)管理など、香味を大きく左右する大切な作業には、職人の経験を存分に活かしています。
さらに、醸造後にもこだわりあり。「瓶貯蔵」と「氷冷庫保管」を行っています。まず、「瓶貯蔵」は、酒が酸化しにくい貯蔵方法。従来のタンク貯蔵に比べ、酒と酸素の接触が少なく、雑味を増やさずに熟成されます。
次に、「氷冷庫保管」は、-4℃という低温の中で酒を保存する方法。酵素の働きを抑え、搾りたてのフレッシュな味わいをキープできます。
こうした取り組みを行っているからこそ、「DHC酒造」は、前述のような高品質な日本酒を、安定して生産できます。
杜氏「武生 公則」
大分県出身。大学時代、酒造りに興味を持ち、27歳のときに新潟県長岡市の酒蔵で修業を始めます。
同酒蔵に勤めながら、新潟清酒学校を卒業し、酒造技術士1級取得。さらに、新潟各地のベテラン杜氏から多くの技術を教わり、2018年、「DHC酒造」の酒造りの責任者に就任しました。
「麹は生き物で、酒造りは変化の連続。目標の酒質に向け、間違いのない方針を決定し、即行動に移すことが大切です」と語る武生氏。
麹・醪(もろみ)の現状を正しく認識することや、味を確かめるための「ブレない利酒技術」の維持に努めているそうです。
「より多くのお客様から、『美味しい』と言ってもらえるお酒を造りたい」と、日々の努力を惜しみません。
文:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG