スパークリングワイン、どれを飲む? 後編:~ブドウの違い~
ワインの知識
特別な日の乾杯にはビールより、スパークリングワイン!?
でも何を選んでいいか分からない。数多いスパークリングワインからどうやって選べばいいのか。
前編では、スパークリングワインの製造方法の違いを書きました。
今回はワインの味に一番影響を与えるブドウのお話です。スパークリングワインを製造しているブドウにはどんなものがあるでしょうか?
コンテンツ
シャンパーニュのブドウは?
まずは、スパークリングワインの最高峰、シャンパーニュをつくるためのブドウを見ていきましょう。
伝統的にシャンパーニュはシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエという三種類のブドウを使っています。白ブドウと黒ブドウを混ぜて造るんです。
そして2010年からは、ピノ・グリ、ピノ・ブランなども合わせて、7つのブドウ品種を材料としていいことになっています。
ちなみに、白ブドウだけ、黒ブドウだけで造るとまた特別なものになります。
シャルドネなど白ブドウだけで作られた物「ブラン・ド・ブラン」、ピノ・ノワール、ムニエなどの黒ブドウだけのものを「ブラン・ド・ノワール」といいます。
白ブドウだけだと、ハチミツの感じやパンのブリオッシュの感じが強く感じられ、黒ブドウだけだと、コクをしっかり感じるシャンパーニュとなります。
こちらの違いも楽しんでみてください。
製造の違い?ブドウの違い?どちらで選ぶ?
製法がシャンパーニュと同じ、トラディショナル方式のイタリアのフランチャコルタは、シャルドネ、ピノ・ネロ(ピノ・ノワール)ピノ・ビアンコ(ピノ・ブラン)で造られます。
イタリア語とフランス語の違いがあるくらいで、ほぼブドウも一緒です。
スペインのカヴァはトラディショナル方式で造られますが、ブドウは違います。マカベオ、パレリャーダ、チャレッロの三品種です。シャルドネやピノ・ノワールが使われることもありますが。
ですから、カヴァはシャンパーニュより酸味が穏やかだと言われています。
他にもシャルマ方式で造ったイタリア・サンテロのピノ・シャルドネ。名前の通り、ピノ・ノワールとシャルドネです。
同じくシャルマ方式、チリのバルディビエソもピノ・ノワールとシャルドネで造られています。
シャルマ方式とはいえ、ブドウが同じなので、味は近いけど、泡の感じ、要するに口に入った時の感覚が少し違うということになります。
フランス・シャンパーニュとイタリア・フランチャコルタはほぼ同じ。値段はそれぞれの造り手によって違います。
スペイン・カヴァは製造方法はシャンパーニュと一緒でブドウが違う。
イタリア・サンテロとチリ・バルディビエソは、ブドウが同じで製造方法が違う。どちらも値段はシャンパーニュに比べると値段が手ごろで買いやすいですね。
製法をとるかブドウで選ぶかで、違いが出てきます。
世界の代表的スパークリングワイン
国 | フランス | イタリア | スペイン | ||
名前 | シャンパーニュ | フランチャコルタ | アスティ | プロセコ | カヴァ |
生産地方 | シャンパーニュ | ロンバルディア州 | ピエモンテ州 | ヴェネト州 | カタルーニャ州 |
製造方法 | トラディショナル方式 | トラディショナル方式 | シャルマ方式 | シャルマ方式 | トラディショナル方式 |
ブドウ品種 | シャルドネ ピノ・ノワール ムニエ |
シャルドネ ピノ・ネロ ピノ・ビアンコ |
モスカート・ビアンコ シャルドネ など |
グレーラ | マカベオ パレリャーダ チャレッロ |
代表的造り手 | モエ・エ・シャンドン ヴーヴ・クリコ |
ベラヴィスタ カ・デル・ボスコ |
サンテロ | ボッテガ・ベッレンダ | フレシネ コドルニウ |
日本のスパークリングワインは多様性!
日本では製造方法もトラディショナル方式やシャルマ方式。ガス注入方式など、様々あります。
造られるブドウも日本固有の甲州やシャルドネ、ナイアガラなどの白ブドウ。デラウェアなど黒ブドウまで、様々な品種から造られ、味も辛口から甘口まで様々造られています。
ワイン造りはヨーロッパに比べれば新参者。それゆえ自由度が高く、色んなスパークリングワインが合って選ぶ楽しさがありますね!
代表的な日本のスパークリングワイン
ワイナリー | 高畠ワイナリー | ルミエール | 安心院ワイン | マンズワイン | メルシャン |
商品名 | 嘉 yoshi | スパークリング | スパークリング | 酵母の泡 | 日本の泡 |
都道府県 | 山形 | 山梨 | 大分 | 山梨 | 山梨、長野、福島、秋田 |
製造方法 | トラディショナル方式 | トラディショナル方式 | トラディショナル方式 | トラディショナル方式 | シャルマ方式 |
ブドウ品種 | シャルドネ | 甲州 | シャルドネ | 甲州、龍眼 など |
甲州、シャルドネ リースリング など |
スパークリングワインの辛口、甘口の違いはどう見る?
味の違いもシャンパーニュがやはり基準となっています。
- 甘辛度
-
- Brut Nature(ブリュット・ナチュール)/Dosage zero(ドサージュ・ゼロ)
- Extra Brut(エクストラ・ブリュット)
- Brut(ブリュット)
- Extra Dry(エクストラ・ドライ)/Extra Sec(エクストラ・セック)
- Sec(セック)
- Demi Sec(ドゥミ・セック)
- Doux(ドゥ)
※上から順に、「超辛口」⇒「辛口」⇒「やや甘口」⇒「甘口」
これは澱抜き後の糖分添加(ドサージュ)によって味わいを調整し、その後の残糖度によって、甘辛度が決まっています。
一般的な「辛口」が飲みたい場合には「Brut」がいいですね。「Brut」は、糖分量が12g/l未満となっていて、ここが基準となります。
それより少なければ辛口度が上がっていき、多ければ甘口となっていきます。細かい糖分量は覚えておく必要はありませんが。
「Sec」や「Doux」は甘口なので、デザートにスパークリングワインを飲む場合にはこれを選んでもいいです。
「Brut」や「Sec」という言葉はラベルでもよく見かけると思います。最近では裏ラベルに「辛口」など分かりやすく日本語で書いてあるものも多いですね。
スパークリングワインには収穫年(ヴィンテージ)が書いてない!?
スパークリングワインにはスティルワインにあるヴィンテージが書いてない場合が多いです。ワインに必ずといっていいほど書いてある、年のことで、ヴィンテージとはブドウが収穫された年のことです。
ワインの味に一番影響するのはブドウです。だからブドウがよくできた時にはワインの出来もよく「グッドヴィンテージ」と言ったりします。
逆にブドウの出来が悪くても、ご心配なく。そういう年は逆に造り手の腕の見せ所。造り手たちの努力によってまた趣のあるワインができるのも事実です。
だから逆にワインは毎年違いがあって「面白い」ということになります。
ただし、シャンパーニュはやはり特別なお酒。フランス人も特別な日に飲みます。
特別な日とは、誕生日、記念日、結婚式などやっぱりお祝いの日ですね。その特別な日のためのお酒がヴィンテージによって差があってはやはり良くない。「このシャンパーニュ、去年は良かったけど、今年はダメだね」なんて、せっかくの日が台無しになってしまう。
だからこそ、一定の味を保つために、色んな年の果汁を貯めておいて、ブレンドすることによって味を保っているのです。
シャンパーニュには、ラベルにはヴィンテージが書いてないことが一般的です。ノン・ヴィンテージ「NV」と表現されます。
それでも、シャンパーニュでもブドウの成長がすごくいい年には、いいシャンパーニュを造りたい!ということで、「ヴィンテージ・シャンパーニュ」という特別なシャンパーニュが造られています。
毎年ヴィンテージシャンパーニュを造っているのは、「ドン・ペリニヨン」。毎年品質を保っているとの自信がうかがえます。
いい年だけにヴィンテージシャンパーニュを造っているのは「サロン」。だから、希少価値も高く、お値段も手に入りにくいシャンパーニュです。
これに倣って、ノン・ヴィンテージのスパークリングワインが多いですが、同じように素晴らしいブドウができた年にヴィンテージのついたスパークリングワインを造ることもあります。
いかがでしたか?やっぱりお祝いの時に飲みたいスパークリングワイン。
この記事を基準にして、お好きなスパークリングワインを選んでみてください!