「菊のように香り高く、泉のように清らかな、伝承の酒」煉瓦製の煙突がシンボルの深谷の地酒。-埼玉県 滝澤酒造-
酒造・メーカー紹介
滝澤酒造について
シンボルの煉瓦製の煙突
文久三年、埼玉県小川町にて創業。明治三十三年に地の利と水の利を求め、中山道深谷宿の街道沿いに蔵を構えました。以降、全高20メートルを超える煉瓦製の煙突をシンボルに、深谷の地酒として長年親しまれてきました。
平成十九年、六代目当主である「滝澤 英之氏」が南部杜氏である先代親方を引き継ぎ、自ら杜氏に就任。受け継がれてきた伝統を礎に、新たな技術と価値観を取り入れながら挑戦を続けています。
手造りによる伝統製法
「滝澤酒造」は、手造りによる伝統製法を守り続けています。昔ながらの道具を使い、蔵人の経験と勘に基づいて作業を行います。
酒造りでもっとも重要とされているのは麹造りですが、麹の出来は洗米・蒸米という原料処理で決まると言っても過言ではありません。手間のかかる洗米も、吟醸酒以上ではやさしく手洗いします。
蒸米は、蒸気が均等に通り安定した蒸かしが可能な昔ながらの和釜と甑で行います。その後の麹造りはもちろん、仕込み工程でも手作業にこだわります。
原料や発酵の状態を感じ取り、微調整していけるのは人。もしかしたら、現代の機械なら大差はないのかもしれません。それでも、「滝澤酒造」は手造りを大切にしています。
地域の風土を活かした酒作り
深谷にはかつて日本煉瓦製造株式会社の工場があり、良質な煉瓦が生産されていました。東京駅や赤坂離宮などは深谷産の煉瓦で建設されています。
「滝澤酒造」でも、煙突や麹室、製品を貯蔵する蔵がこの煉瓦で建てられています。特に、保温性と保湿性に優れた煉瓦製の麹室は、繊細な温度管理を求められる麹造りに最適であり、「菊泉」の酒造りに欠くことのできない存在です。
また、荒川水系の伏流水は発酵に有利な硬水で、菊泉の目指す淡麗な口当たりに適した水質です。麹が乾燥しやすい冬の気候も、すっきりとしたお酒の製造に向いています。深谷の酒蔵として、地域の風土を活かした地酒をつくります。
日本酒の魅力や可能性
日本酒を取り巻く環境について考えると、もっと日本酒の魅力や可能性に向き合う必要があると感じています。その想いがひとつの形となったのが、発泡性純米酒「菊泉 ひとすじ」です。透明なスパークリング日本酒は、若い世代や女性からも注目を集めています。
その他、蔵見学や酒造り体験の受け入れ、お客様と交流できるイベントへの参加も大切にしています。
日本酒の奥深さ、難しさ、おもしろさを知っていただくことで、壁を低くしていく。蔵元として、もっとたくさんの方に日本酒を楽しんでいただけるよう「滝澤酒造」は願っています。
文:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG