「美味しい焼酎は良質のさつまいもから」大隅半島を代表するブランドとして、愛される焼酎造り。-鹿児島県 大海酒造-
酒造・メーカー紹介
大海酒造について
「伝統と挑戦」の歴史
地域の9蔵が結集してできた「大海酒造」の歴史は、当に「伝統と挑戦」の歴史でした。各蔵が長い時間の中で受け継いで来た知恵と伝統を継承しつつ、時代のニーズに合った味を探求する事で、皆様のご支持をいただいてまいりました。
「大海酒造」では、芋焼酎の原料のサツマイモは全て地元の契約農家に栽培を委託しています。
日本の農業を酒造りの場から支えて行きたいという使命もありますが、杜氏が農家と密接な関係を築きながらのイモ作り、農家の顔の見える酒造りを大事にしてきました。
晩夏から初冬までのサツマイモの収穫時期に集中して焼酎造りを行い、その期間、造り手は蔵に泊まり込み、蔵の息づかいと24時間向き合いながら、丹念にものづくりを行っています。
比較的近代的な設備の整った蔵ではありますが、機械に頼らず、できるだけ造り手の経験と五感、そして精神力・体力を駆使した焼酎造りを行うのが「ものづくり」の身上と考えています。
美味しい焼酎は良質のさつまいもから
大隅半島にある鹿屋市は、水はけの良いシラス台地で昔からさつまいもが栽培されている地域です。
大海酒造はさつまいもの栽培が盛んな鹿屋市で、契約農家が丹精込めて育てたさつまいもを使い、こだわりの焼酎造りを行なっています。
焼酎造りが始まると、造りの期間中杜氏、蔵人は蔵に泊まり込み焼酎造りを行ないます。造りを全て機械に頼るのではなく造り手の五感を生かした焼酎造りにこだわり、大隅半島を代表するブランドとして、より多くの皆様に愛される焼酎をこれからも造り続けていきます。
「私たちのさつまいも畑から焼酎造りは始まります」
「大海酒造」の焼酎の裏ラベルには契約農家の写真と一緒にこの言葉が書かれています。
「美味しい焼酎は良質のさつまいもから」
契約農家は長年、さつまいもの品質向上に努めてきました。そのさつまいもを使いおいしいだけではなく、生産者の顔が見える安心・安全な焼酎造りを行なっていきます。そう、焼酎造りはさつまいも畑から始まっているのです。
◎杜氏「大牟禮 良行氏」の目指していること挑戦していること
現在の杜氏、「大牟禮 良行氏」は1981年より蔵子として修行し、1999年から杜氏として任されてきました。日本酒の醸造技術を学びに毎年東北の日本酒蔵に勉強に行くなど、杜氏の好奇心の旺盛さは毎年の焼酎の味わいを進化させてきました。
そしてその伝統は、次の杜氏「前田 直樹氏」が受け継ぎ、新たな歴史に向け、ただ、ただ、おいしい焼酎を皆様にお届けするために、変革をも恐れず真摯に実直に挑戦を続けてまいります。
◎杜氏「大牟禮氏」現代の名工受章
卓越した技能者を表彰する2021年度の「現代の名工」が11月5日に発表され、杜氏「大牟禮 良行氏」が選ばれました。
「大牟禮氏」は1981年に大海酒造に入社。前杜氏「黒瀬 明氏」のもとで長年の修行の末、1998年に杜氏職を引き継ぎました。当時はまだ44歳という若さでしたが、杜氏になって2年目に造った芋焼酎が平成13年の鹿児島県本格焼酎鑑評会において優等賞第一位(総裁賞代表)を受賞し話題になりました。
その後も「大牟禮氏」は技術の研鑽のために毎年厳冬期に秋田県の日本酒蔵を訪れ、日本酒造りを学ぶことで、自身の焼酎造りに活かしていました。
彼の造る芋焼酎の中で一番特徴的なものは、芋焼酎とは思わないフルーティーな香りがただよい、かつ軽快に飲めるタイプの焼酎ではないでしょうか。初心者にも抵抗なく飲んでもらえる焼酎の開発は本格焼酎業界にとっても大きな貢献ができたのではないかと自負しています。
また、地域に根ざす焼酎製造業者として、近隣の農家と深い結びつきを作ることで芋生産者を支えたり、地域特産の原料(バラや茶葉など)を使った焼酎造りにも挑戦をするなど、地元の産業にも貢献をしてきたことも評価されました。
その「大牟禮氏」も今年(2021年)で67歳になり、近年は製造現場の中心から一歩離れた立場で若手の育成に力を入れています。これからはその「大牟禮イズム」を受け継いだ製造担当者が、若い感性を取り入れながら焼酎造りをしていくことになるでしょう。
今後の「大海酒造」にどうぞご期待ください。
文:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG