時代が求める環境と健康に配慮した、安全で美味しい酒造り。-青森県 八戸酒造-
酒造・メーカー紹介
八戸酒造について
洗練された味わいをもとめて
看板銘柄は、フルーティで華やかな香りとフレッシュな味わいの「陸奥八仙」。また、古くから地元の漁師たちに愛飲されてきた辛口でスッキリとした味わいの「陸奥男山」の二つです。
それぞれに目指す味わいは異なりますが、両銘柄に共通しているのは『洗練された味わいを感じていただきたい』ということです。
そのようなきれいな酒を造るためには清潔な醸造環境が欠かせません。「八戸酒造」ではこれまで約10年かけて蔵内の環境を整備するとともに酒質の安定化を図ってきました。
中でも醸造設備の整備は、平成28酒造年度に麹室の拡充や仕込みタンクのサイズアップを図り、槽場の圧搾機を新しいものに交換、洗米の設備にも手を入れ、より正確な原料処理を実現させました。
また翌29酒造年度には、甑と放冷機を新調し、安定した品質の酒造りを実現しました。併せて取り組んできたのが蔵人全員の正社員雇用と、それに伴う醸造技術や製法面での工夫、また地酒蔵として追及すべき地元原料へのこだわりです。
若い世代が活躍する「八戸酒造」
「八戸酒造」の蔵人の平均年齢は 約30歳と若く、キャリアも技術も発展途上のスタッフが大勢を占めることから『いかに造りをシンプルにして酒質を安定させるか』に主眼を置いてきました。
そのため温湿管理ができるハクヨーの5段盛製麹機を導入し、そのタイミングで純米吟醸クラスからレギュラー酒に使用する麹米を精米歩合 55%の「華吹雪」に統一することで、作業工程の単純化と酒質のブレを防ぎました。
また原料は青森県産にこだわり、米は地元農家との契約栽培を進め、青森県の酒造好適米 「華想い」「華吹雪」に加えて、県の農林水産総合研究所が開発した新品種の酒造好適米「吟烏帽子」や、一般米の「レイメイ」「まっしぐら」など全量青森県産を使用しています。
もちろん酒造りに使用する酵母にもこだわり、全体の9割以上を青森県酵母が占めています。
地域のシンボルの建造物
大正年間に建設された6つの建造物が、「文化庁登録有形文化財」「八戸市景観重要建造物」に指定されており、漆喰土蔵と赤レンガ蔵が新井田川の風景と一体となった景観は、近世から物流拠点として繁栄してきた湊川口を象徴するものです。
大正時代の建築当時から地域のシンボルとして親しまれるとともに、和と洋の建築形式が混在し、建築規模からも近代産業の繁栄を表す建築物群となっています。
蔵見学も行っており、年間 約8,000人もの方が国内外から訪れています。
文:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG