「真野鶴」~佐渡の自然・風土とともに、幸せを醸す酒蔵-新潟県 尾畑酒造-
酒造・メーカー紹介
尾畑酒造の歴史
「尾畑酒造」は1892年(明治25年)、佐渡島は旧・真野町で尾畑与三作(よそさく)によって創業され、130年に渡り手造りによるクラフトスタイルの酒を醸してまいりました。
酒造りのモットーは、「四宝和醸(しほうわじょう)」。
これは、酒造りの三大要素と言われる「米」「水」「人」に、酒の生産地である「佐渡」を加え、四つの宝の和をもって醸す意味合いを持っており、当社の家紋・四つ目もそれを象徴しています。
朱鷺の舞う島で持続可能な酒造り
「真野鶴」を育む佐渡島は、歴史、自然、文化の多様性に富み、「日本の縮図」と言われます。
島には絶滅危惧種の朱鷺が舞い、米農家の皆さんはこの環境を守るため、低農薬低化学肥料など、佐渡市による「朱鷺が暮らす郷づくり認証米」制度に則って栽培した米をはじめ、環境配慮型の農業に取り組んでいます。
弊社で使用する米は、佐渡産の酒造好適米「五百万石」、そして新潟限定栽培酒米「越淡麗」などを中心に使用。佐渡相田ライスファーミングによる「朱鷺と暮らす郷づくり認証米」制度に則り、かつ「牡蠣殻農法」(水田に引く用水を牡蠣殻に通すことで微生物の力を引き出す農法)を用いた減農薬・減化学肥料による酒米「越淡麗」や、農家の長原氏・田中氏・本間氏による佐渡島唯一の山田錦など、佐渡ならではの酒米から個性溢れる日本酒を醸しています。
水は、島の南北に連なる二つの山脈の雪解け水が地中深く染み込んだ後、自然のろ過により麓に湧き出す清冽を極めた軟水で、その水質は淡麗で柔らかな酒を醸すのに最適です。
小さな蔵の手造りの酒が世界各国の栄誉に輝く
現在の杜氏である工藤賢也(1971年生まれ)は、前杜氏・松井万穂より全国トップクラスの技術を継承、蔵人たちは冬期間無休の泊まり込みによる早朝仕込みを実践しています。
そして、手造りの伝統に新しい技術を融合することにより、さらなる品質の向上と皆さまにより楽しんで頂ける味わいを生み出すべく研鑽を続けています。
これらの姿勢と努力により、真野鶴は全国新酒鑑評会(日本)、International Wine Challenge(イギリス)、Kura Master(フランス)、Milano Sake Challenge(イタリア)など数々の鑑評会で各種メダルに輝いています。
廃校を酒蔵に「学校蔵プロジェクト」
日本で一番夕日がきれいな小学校と謳われながらも人口減少のため2010年に廃校になった西三川小学校を、2014年に「学校蔵」として名付けて酒蔵として再生させました。
ここでは春から夏にお酒造りを実施。オール佐渡産をモットーに、酒米はもちろん、酒造りのエネルギーも太陽光パネルを設置して佐渡産のエネルギーを取り入れています。
年間の発電量は酒造りに使用する電気量とほぼ同じで、今後は酒蔵の将来像を見据えてゼロカーボンブリュワリーを目指して参ります。
また、酒造りの体験者を受け入れる「酒造り体験プログラム」や、地域の未来を考える一日限りのワークショップ「学校蔵プロジェクト」など、学校という場を活かした活動を継続しています。
学校蔵発の新ブランド「かなでる/KANADEL」
音色が無限であるのと同様に日本酒も原材料はもちろん、仕込みの方法や温度経過などによってその風味は無限に広がります。
学校蔵はもともとが学校であったことから様々な製法を学びながら、日本酒を表現していきたい、そんな想いで酒造りを行ってきました。
あたかも音色を自在にかなでるように酒造りを探求し、色とりどりの味わいをかなでたい。もっと自由に、もっと楽しく。佐渡の風土で「かなでる/KANADEL」日本酒の新たな可能性をお届けしていきます。
ラベルデザインは佐渡の素晴らしい自然の恵みである里山、里海、そして豊穣の実りを五線譜に載せて豊かな音色をかなでだしている様子を表しています。
幸せを醸す酒造りを目指して
佐渡は、美しい自然、文化、歴史があり、「日本の縮図」と言われる島。順徳天皇や日蓮上人、世阿弥などが配流された歴史や、かつては世界一の産出量を誇った佐渡金山の興隆、野生の朱鷺との共生を図るために積極的に行われている環境保全活動、これら一連の歴史・文化が風土として息づいています。
この多様性溢れる島で、佐渡金山坑道での熟成酒造りや、佐渡の棚田で作ったお米での酒造りに挑んでいます。佐渡が酒を醸し、その酒がまた佐渡を語り続けていくと考え、佐渡の風土をお酒に込めているのです。
尾畑酒造の社訓は幸せを醸す心と書いて、「幸醸心(こうじょうしん)」。
酒造りを通して、たくさんの幸せを醸してまいります。
文:尾畑酒造 株式会社
協力:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG