酒母造りは微生物たちの生存競争の一つ。自然界に生きた強い生命力で造る「味のある旨い酒」-愛知県 青木酒造-
酒造・メーカー紹介
青木酒造の歴史
「青木酒造」は、1805年(文化2年・江戸後期)創業です。
1959年(昭和34年)突如、愛知県西部を伊勢湾台風が襲いました。「青木酒造」は海水に浸かり、跡形もなくなり被災しました。
しかし、当時の13代目社長はすぐさま復興に力を注ぎました。ここから「青木酒造」の新たな酒作り『味のある旨い酒造り』が始まりました。
「青木酒造」はこの頃から、昔ながらの伝統と技術を要する山廃仕込みに取り組みました。
厳選された微生物での酒造り
現在蔵元14代目。山廃・生酛が主。生酛系は全て酵母無添加。速醸は生酛系の差し酛。
創業当時から蔵にて世代を変え今も尚生き続けている(変化し続けている)微生物を100%酒造りで使用する事で、会社の歴史、日本酒の歴史を「米宗」を通して飲み手に伝えていきたいと思っております。
酒母造りはそんな微生物たちの生存競争の一つです。多大な負荷をかけ、ほんの数%の微生物のみ生きていられる環境にし、生命力の強い微生物のみを厳選します。
醪において、その厳選された微生物たちが酒造りに一生を捧げます。そんな微生物に対する感謝の意味を込めて、微生物たちに菌生最後まで発酵してもらいます。(完全発酵)
このように自然界に生きた生命力の強い微生物のみの力でお酒を醸すため、丈夫なお酒に仕上がります。
火入酒はもちろん常温保管ですが、生原酒もぜひ一年以上常温保管したものを飲んでみてください。冷蔵保存の商品には絶対に現れない常温保存の味わいに出会えます。
杜氏の小言
日本酒の大きな特徴は、様々な温度帯で楽しむことができるという点です。
水割、お湯割、炭酸割、冷やだけでなく温燗、熱燗もあり、一本の日本酒で様々な状況に溶け込むことができます。
お酒は、栓を抜いた瞬間からストーリーが始まります。1日目、2日目、1週間後、1ヶ月後・・・と味は変化していきます。必ずしも開栓直後が一番美味しいとは限りません。
また、お酒を口にする消費者様の心持ち一つで大いに味を左右するのが、注ぎ方とグラス・お猪口です。
このようにお酒は
- 温度帯
- 開栓後の月日
- 注ぎ方
- グラス
この4つの条件によって様々に表現できます。
一度常温で味見をして、どんな風に表現したら自分の求める美味しいお酒になるのか。一本のお酒から自分に合った最高の一杯を見つけるのも一つの楽しみにしてみてはいかがでしょうか?
私は家飲みで毎日飲める飽きのこないお酒を造っています。米宗の常温〜温燗(燗冷まし)が大好きです。この温度で飲む「米宗」が真の米宗だと思っています。
少し感じる酸・凝縮された旨味・最高の癒しが津波のように身体中に襲ってきます。それを是非皆様にも感じていただきたい。
ゆったりと、一日の疲れを癒せるお酒でありたいものです。
文:青木酒造 株式会社
協力:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG