日本酒を飲もう! 第1回「日本酒と清酒の違い」
日本酒の知識
最近、日本酒飲んでいますか?
日頃から飲まれている方でも、日本酒のラベルに書いてあることを正確に知っている方は多くはないのではないでしょうか。
また、何となく「こうだ!」と思い込んでいることもあるのではないでしょうか。
私は日ごろから日本酒を飲むようになる前には、こんなことを思っていました。(私だけでないと信じています。)
- 日本酒は二日酔いになり易い。
- 「アルコール添加」の酒は身体に悪いイメージがある。
- お米を削るって何? お米を削りすぎたらもったいないでしょう。
- 日本酒の辛口? いや基本的に蒸留酒の方が辛口だろ。
今考えると、この手の固定観念は経験値が足らな過ぎたと猛省しています。酒飲みの経験値を高めるには、飲む回数だけではなく、「知識」も大切だったと。。。
そんな私の失敗談も踏まえまして、この記事を見てくれた方が、日本酒を次に選ぶ際のキーワードを頭の中に残してもらえるようにお伝えしていきます!
日本酒と清酒の違い
では、「日本酒」と「清酒」の何が違うのかというお話をさせていただきます。
「日本酒」を調べてみた
こちらは、国税庁からのコメントからの内容を簡単に私のほうでまとめてみました。
- 日本酒
- 清酒の中で、原料の米に「日本国産米」を用い、「日本国内で醸造したもの」
- 清酒
- 原料の米に「海外産の米や日本国産米」を用い、「海外または国内で醸造したもの」
なるほど、日本国産米が「日本酒」であり、海外産、国産問わずお米で造った酒が「清酒」ということです。大きなくくりで言えば、「清酒」の中に「日本酒」が含まれるということですね。
経緯としては、日本の季節を通じて発展してきたお酒である「日本酒」を、その価値を尊重して、「日本酒」※という単語を指定・保護するという流れでこの区別が生まれたようです。
※酒類業組合法に基づき、平成27年12月に地理的表示(GI)として「日本酒」という単語で指定・保護されている。地理的表示(GI)とは、日本酒の品質、評判等が本質的に地理的原産に起因するものと考えられた場合において世界的に認められたものを指す。
「清酒」を調べてみた
「清酒」の定義については、酒税法から清酒の定義を抜粋させていただきます。
清酒の定義
- 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
- 米、水及び清酒かす、米こうじその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの
- 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの
「こしたもの」漢字で書けば「濾したもの(=ろ過する)」です。これは、日本酒の製造方法として、アルコール発酵させてできる「醪を濾す」という作業があります。この工程を踏んだものを清酒ということになるのです。
清酒という単語も過去を辿れば、「清(す)み酒」=「澄んだお酒」という言葉もあるくらい、透明感があり濁っていないお酒なのですから非常に正しい定義付けされていると言えますね。
ちなみに、「濾さない(=ろ過しない)」とどうなるのかという方もいらっしゃいますでしょう。それは「どぶろく(濁酒)」になるのです。濁った酒の反対の位置に清酒があると思えば、清酒の意味がよりするりと身体へ入ってくる感覚がいたしませんか?
先に出した酒税法の定義も「清酒」の項目でまとめられており、「日本酒」というくくりでお米の酒を分類するのではなく、「清酒」という分類で分けたほうが、濁酒を含む他のお酒との整理がしやすかったのではないかと思いました。
昔のお役人の方々・有識者の方々が頑張って整理した結果が「日本酒」「清酒」の単語の違いを生み出したのでしょう。そう思うと少し歴史ロマンを感じますね。
ワンポイント講座(合成清酒について)
ちなみに、清酒という名前がついた合成清酒というジャンルもあり、これは清酒との作り方が異なるジャンルだということを覚えておいてくださいませ。厳密にいえば違いますが、合成清酒はリキュールのようなものであり、料理酒・紙パック酒類のジャンルが合成清酒に該当しやすいと思います。(例外もあります。)
合成清酒 ※酒税法より抜粋
- アルコール、焼酎又は清酒とぶどう糖その他政令で定める物品を原料として製造した酒類
- アルコール16%未満、エキス分が5度以上等のもの
日本酒と清酒の違いが分かるお酒を探す
「日本酒・清酒」の違いがよりわかるお酒はないかと探したところ、愛知の有名なお酒の、『醸し人九平次(萬乗醸造)』で見つけました。
『醸し人九平次』であるし、それは「日本酒」じゃないかと思い込みそうなものですが、ボトルのラベル表記は「清酒」表記の1本になります。
どんなお酒かと申しますと、以下のような1本です。
醸し人九平次 ~カマルグに生まれて~(清酒)
- 酒質的には純米大吟醸
- 国産米でなくフランス産酒米(海外産)を使用
- 海外産の酒米を使っているため、ボトル掲載のラベルには「日本酒」表記ができないので「清酒」となる
おお!私の思い込みでは完全に日本酒の佇まいなのですが、この1本は清酒です。固定観念は良くないなって思い知らされる気づきになりました。
実際飲んでみても、これは海外産の米でしょうと言い切れる人もそうはいないと思います。日本酒と清酒の違いを味わいだけで判断するのは極めて難しいでしょう。
調べていて思いましたが、もし酒場でこの1本に出会えて、ボトルを見てこんなニヤリとする発見できたら嬉しいですね。ただし、見つけたら「自分の中だけ」でニヤリとしましょう。ここは大切なところです。私の経験上、お酒の詳しい人間でも無ければ、この手の発見のありがたみを他人と分かち合えない気がするからです(苦笑)
日本酒と清酒の違い(まとめ)
最後に「日本酒」と「清酒」の違いについて双方の視点で簡単にまとめさせていただきます。
日本酒
- 日本酒は清酒の一種である。(日本酒=清酒と考えていてよい。)
- 日本酒は日本で造られるお米のお酒である。
- 日本酒と清酒の味わいの違いはほとんど無いと考えてもよい。(私個人の推察も入ります。)
清酒
- 清酒は澄んだ綺麗なお酒である。
- 海外でも清酒は作ることができ、海外のお米で造っても清酒となる。
- 清酒と合成清酒はそもそもお酒のジャンルが違う。
こんなところでしょうか。皆様の良き一杯のちょっとした肴になればと祈っております。