伝統と進化を感じる、甲府の高台にあるワイナリー ~シャトー酒折ワイナリー~

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伝統と進化を感じる、甲府の高台にあるワイナリー ~シャトー酒折ワイナリー~

シャトー酒折ワイナリーは甲府駅から車で10分ほどの高台にあります。かなり急な坂を上っていきます。

 

高台の上にある「シャトー酒折ワイナリー」

 

高低差をうまく利用した3階建ての建物で、三角屋根の大きな建物が迎えてくれます。

玄関上のステンドグラスは何やら、神話の一場面のようなもの。ヤマトタケルっぽい。一体、これは?と思っていたら、ヤマトタケルで正解でした。

 

玄関上の「ヤマトタケル」ステンドグラス

 

伝説の土地「酒折」

酒折は「古事記」や「日本書紀」にも書かれているヤマトタケルの伝説の地だったのです。

 

ヤマトタケルが東遠征の際に、酒折宮で休んでいる時に

「新治 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる」

※常陸国(現在の茨城県)の新治・つくばを出てここまで何晩寝ただろうか?

 

と、家臣に和歌で尋ねたところ…

「日々(が)並(なべ)て 夜には九夜(ここのよ)日()には十日を」

※指折り数えると、九泊十日かかりました。

 

と、歌に「かひ」=「甲斐」の文字を織り込んで答えたので、その老人の機転に感動し、その者にこの地の国造(地方を収める官職)に任じたとのことです。

また、これが二人で一首の和歌を詠む「連歌」の発祥ともされています。

 

酒折は何とも素晴らしい伝説の地なのですね。その由来からか、古代甲斐の中心地であったともされています。

ブドウ造りも先駆者

ワイン造りが本格化した明治期には、いち早くワイン用のブドウ栽培がいち早く行われ、ブドウ品種開発の先進地としても知られています。

今でも大手ワイナリーにたくさんのブドウ原料を供給している土地です。

明るく開放的なショップ

まず建物に入ると、広々としたショップです。

全面ガラス張りで、とても開放感があるショップで、ゆっくりワインを選べます。

 

明るく開放的なショップ

 

シャトー酒折ワイナリーは、ワインのインポーターである、木下インターナショナル株式会社のグループ会社でもあることから、フランスなどのワインも買うことができます。

ちなみに、ポルトガルのマディラ(酒精強化ワイン)を製造する会社もグループ会社の一つです。

バラエティーに富んだワインを買うことができますね。

ワイナリー見学も色々

ショップの階下にあるワイナリー。見学経路と説明が書いてある紙もいただけるので、自分で自由に見学することもできます。

スタッフさんによるワイナリーツアーも300円(20分程)で、毎日5回ほど実施されていますので、時間に合わせていくとより理解が深まります。

ちなみにソムリエさんによるツアーも2,200円(1時間程)のツアーもあります。こちらは要予約なので、あらかじめ予約していくといいでしょう。

 

今回は、スタッフさんによる20分のワイナリーツアーに参加しました。

自由に見学できるとあって、経路も分かりやすく、ワイン造りの工程が眼下にしっかり見ることができます。

地下の醸造場へ

地下に醸造場があり、それを一階上の見学通路から見学します。その上の階、最上階がショップですね。

先ほどワイナリーに来る際に、かなりの急坂でしたが、その高低差をうまく利用した建物になっていることが改めて分かりました。

 

地下の醸造場

 

ワイン造りの工程通り、除梗破砕機や発酵タンクなどを見学します。発酵タンクは珍しく、横向きのものもありました。

赤ワインでは発酵段階で、果皮や種も一緒に漬け込んで発酵します。これによってワインに色がつきます。

 

ワインの製造方法についてはこちらもご覧ください。

赤ワインと白ワインの違い、流行のオレンジワインとは? ~ワインの種類と製造方法の違いについて~

 

この発酵時に液体への酸素供給のためや成分の平均化などのために、通常の縦型タンクでは、上部のふたを開けてかき混ぜる「ルモンタージュ」という作業があります。

この横向きの珍しいタンクは、タンク自身が回転することで、その効果を得られるということでした。こういったタンクは初めて見ました。

 

タンク自身が回転する

 

ワイナリーごとの様々な工夫・考え方を学ぶことができるのが、ワイナリー見学の楽しいところです。その後、ボトリングやラベリングなどの施設を一通り見学します。

 

春先なのでまだ収穫したブドウはなく、今年の収穫に向けて、機材のメンテナンスや洗浄などを行っている醸造スタッフが見られました。

 

機材のメンテナンスや洗浄

 

こちらは自社畑だけでなく、ブドウ農家にもブドウの栽培をお願いしているそうです。

より良い栽培家からより良いブドウを提供してもらうためにも、ブドウを入れるかご一つも清潔に保っておくそうです。

 

「シャトー酒折ワイナリーにぜひうちのブドウを美味しいワインにしてほしい」と栽培家さんに思ってもらえるように、施設を清潔にし、最高の状態でブドウをお待ちしているんだとか。

気持ちのいい仕事をすることで、いいワインが生れるのですね。

栽培家との協力

ワインの味を決定する一番の要因はブドウです。シャトー酒折ワイナリーの特徴は、そのブドウづくりをワイナリーだけでなく、ブドウ栽培家にも広くお願いしているところです。

日本はヨーロッパに比べると高温多湿であり、大きく違うのは降水量の多さです。昔からワインを造っているヨーロッパとは明らかに気候が違います。そのことから日本独自の栽培技術を必要としています。

 

山梨はワイン造りを始める前から、長く果物、そしてブドウを生産してきました。その農家の経験をもとに、日本にあったブドウ造りをしている素晴らしい栽培家からもブドウを買い、ワイン造りをしているのです。もちろん、栽培家の名前もしっかりワインに記載されます。

 

栽培家とワイン醸造家の協力関係から、素晴らしいワインが生み出されるのをしっかりと感じました。

 

生産者とワイン醸造家の協力関係から、素晴らしいワインが生み出される

いよいよ試飲!

ワイナリーツアーが終わるとお楽しみの試飲です。

3種類のうち、一つはグラスでいただけて、残りはカップでいただきます。今回はデラウェアをグラスでいただきました。

あとは最近見つけたら必ず飲んでみているシラーをプラスで購入しました。

 

デラウェア

デラウェア

香りは甘めのトロピカルフルーツ、パイナップルの印象があります。飲んでみると果実味と酸味も感じられます。

これからの季節冷やして、外で飲みたいワインです。

眺めのいいテラスから甲府駅近くを見下ろしながら試飲できます。この雰囲気にピッタリのワインでした。

シラー

色の印象も明るく、予想通り、赤い果物とシラーっぽいスパイスの香り、故障の感じが印象的です。

味わいも穏やかで、渋みも心地よい程度なので、こちらものんびり芝生の上とかで飲みたいワインです。

 

ちなみに小さいカップの一番色が濃いものは、ブドウジュースです。お子さんやドライバーにはこちらが提供されます。おまけでいただきましたが、こちらも美味しかったです!

かわいいロゴ

シャトー酒折ワイナリーのロゴもかわいいです。2019年にデザインを変更したそうです。

 

シャトー酒折ワイナリーのロゴ

 

ワイナリー見学の際に胸に張るシールは、入り口のステンドグラスと同じもの。

 

ワイナリー見学の際に胸に張るシール

伝統と進化

神話も存在する伝統ある地で、早くからブドウ造りも盛んだった酒折。そんな昔からある場所で、ワイン造りはどんどん進化していくんですね。

そんな姿を体感できるワイナリーでした。

伝統と進化を感じる、甲府の高台にあるワイナリー ~シャトー酒折ワイナリー~

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