今年のIWCも受賞した長野の銘酒「夜明け前」人気No.1の銘柄とは!?
酒造・メーカー紹介
「夜明け前」と聞くと何を連想しますか?小説好きならずとも、島崎藤村の小説を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
小野酒造の日本酒「夜明け前」は、1864年に創業しました。奇しくも、まさに幕末の”夜明け前”の時代です。
今回は、「夜明け前」を製造している(株)小野酒造店 小野庄平さんに、特に人気のお酒や最新の取り組みなどについて伺いました。
今年のIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)受賞酒も含まれる人気のお酒をランキング形式でご紹介していきましょう!
コンテンツ
「IWC」って何?
毎年ロンドンで行われる世界最大規模のワイン品評会。”世界でもっとも大きな影響力をもつワインのコンテスト”とも言われており、2007年には「SAKE部門」が誕生しました。
IWCは日本酒の海外進出における重要なイベントとして、国内外で注目され、年々その価値を高めています。
小野酒造店の理念
まずはどんな想いでお酒を製造しているのか、理念や製造環境を伺いました。
和洋中どれもOK!!オールマイティーなお酒
小野さん
蔵の所在地である辰野町は長野県中央部に位置し、標高810mの高地で自然が豊かな環境です。農業が盛んな一方、精密機械の下請け工場が集まっているところでもあります。
初夏には田んぼ一面にゲンジボタルが発生するような水と空気がきれいな土地で、製造、販売をしています。仕込み水は中央アルプス最北端の山系の水、米は長野県産の美山錦、山恵錦、金紋錦と兵庫県産山田錦を使用しています。
銘柄の全体的な特徴は「食中酒タイプ」で、和洋中まんべんなく合わせられるオールマイティーなお酒です。
弊社では「酒は食と共にあるべき」という考えのもとに造っています。
「夜明け前」の人気銘柄をランキングでご紹介
そんな「夜明け前」の中でも、特に人気のお酒をランキングで発表していきましょう!
3位 夜明け前 特別本醸造 辰の吟
手軽に楽しめる「晩酌酒」のコンセプトで、2000年(辰年)から「辰野町小野からお届け」というキャッチフレーズで発売を開始したお酒。
「辰の吟」の発売を始めた頃、全国的に「本醸造」でありながら、一段グレードの高いコストパフォーマンスを発揮した商品が出てくるようになり始めていました。そこで、同社でもそんな酒作りに挑戦したかったのだとか。
当時、小野酒造店は淡麗辛口のお酒が主流でしたが、香り・味ともに「これが吟醸?」と思われるような贅沢な地元酒を目指して作り、送り出しています。
現在は、兵庫県産特等米山田錦を60%精米で醸造しています。年間商品で「火入れ酒」「生酒」を出荷。
このお酒は、2023年 IWCの「本醸造部門」でシルバーメダルを獲得しました。
2位 夜明け前 純米吟醸 生一本
地酒ブームの先駆けの時代より、小野酒造店が看板として出し続けている代表的なお酒です。
当時はまだ級別全盛の時代で、純米酒、純米吟醸酒が商品としては少ない時代に先駆けとして発売出来たのが看板に出来た理由だと思います。
現在は兵庫県産特等米山田錦を55%精米で醸造しています。香り、味わい共に併せ持ち「新酒しぼりたて」「ひやおろし」などの季節商品や「ふなしぼり(しずく採り)」もあり、夜明け前を牽引する代表的なお酒と言えます。
2023年 IWCの「純米吟醸部門」でゴールドメダルを獲得しました。
1位 夜明け前 大吟醸
以前から鑑評会、コンクールの出品用に当社が伝統的に持つ全ての力を注いだ“杜氏入魂の一品”。
準備出来る最高の原料米を使い、持てる全ての技術を用いて、シーズン最高の条件時にピンポイントで「造り」を行っています。
現在は兵庫県産特等米山田錦を35%に精米し、香り、味、キレの良さを併せ持っています。
2023年 IWCの「大吟醸部門」でトップの大吟醸トロフィーに輝きました。
番外編 夜明け前 山恵錦 純米酒
地元上伊那郡の農家さんとの契約栽培で近年注目を集める山恵錦を使用した純米酒。
やや辛口の味わいとキレの良さで吞み飽きしないのが魅力で、安定的な人気があります。
”酒女子のリアルな声”を取り入れた新たな酒
最近取り組んでいるのが、”日本酒好きな女子の意見を取り入れた”お酒作りだそうです。
日本酒好きのアンバサダーの女性(20~30代)を募集して、彼女達から「あったら嬉しいお酒の希望や好みのタイプ」を伺い、お酒の設計やラベルの制作などをして頂きました。
結果として、女性の皆様にも大好評のお酒が誕生!
1年目は「姉御酒(あねごさけ)」として即完売し、2年目の今年も「澄上りシリーズ」として、発売前からの問い合わせや予約も多く、早々に完売しました。
「とても飲みやすく美味しい」「バランスが良い」「しっかりしているが濃すぎない。飲みやすいけど、飲み飽きない」などのお声を頂いたのだとか。
小野さん
昨今はお酒好きの女性も増えているので、こういったリアルなご意見はとても貴重です。
お客様の生の声を取り入れてのお酒作りは今後も続けていきたいと考えています。
酒造りは読めないからこそ面白いんだ!
最後に、お酒造りの醍醐味を伺いました。
小野さん
酒作りの過程で、重労働を解消させる部分や合理化を図る部分の機械化は進めていますが、毎年条件が違うので、最終的に杜氏の判断に負うところは機械化は難しく、手作業が重要になってきます。
具体的に言えば、米の出来や気象条件などが毎年違う為”毎年が一年生”のようなもの。造りは大変ですが、読めないところが酒作りの面白味の一つなのかもしれません。
酒造情報
小野酒造店
元治元年(1864年)小野庄左衛門正常により創業。昭和26年1月17日、株式会社小野酒造店となり現在に至る。
小野さん
島崎藤村の長男である楠雄先生から
という約束で「夜明け前」の使用銘柄としてスタートし、今年50周年を迎えました。
50年を経ても、酒造りのコンセプトを初心からずっと継続しています。