世界で人気の「獺祭(だっさい)」その味と環境へのこだわり ―排水処理を支える積水化学グループの技術―

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世界で人気の「獺祭(だっさい)」その味と環境へのこだわり ―排水処理を支える積水化学グループの技術―

海外で日本酒の人気が上昇を続けている。全国約1700の酒蔵が所属する日本酒造組合中央会が2023年2月に発表した2022年度の日本酒輸出総額は474.92億円に達し、13年連続で前年を上回る金額になった。価格も上昇しており、1リットルあたりの平均輸出価格は10年前から2倍以上上昇しているという。

 

「獺祭」がニューヨーク郊外に初の海外酒造

2023年9月23日、日本酒「獺祭」で知られる旭酒造(山口県)が米ニューヨーク州に新設した酒蔵で完成式典を開いた。場所は同州マンハッタン中心地から約150km離れた北部、ハイドパーク市内にある。25日からは州内の小売店やレストランで純米大吟醸「DASSAI BLUE(ダッサイ・ブルー)」の販売を始めた。

「DASSAI BLUE」のコンセプトは日本のことわざ「青は藍より出でて藍よりも青し」に由来しており、「日本で作られるオリジナルの獺祭を超える」という想いからこの名が当てられている。造られる酒は最高級酒の純米大吟醸のみ。ハドソンバレーの水と、山田錦の米を用いて生産する。酒米は、今は日本産の山田錦のみだが、近い将来、米国産の山田錦も使用する予定という。

 

旭酒造株式会社 桜井 博志会長と新しい米国ブランド「DASSAI BLUE」

旭酒造株式会社 桜井 博志会長と新しい米国ブランド「DASSAI BLUE」

「獺祭」の味へのこだわり 精米歩合

獺祭は国内外で高い評価を受けている。特徴の一つは非常に高い精米歩合だ。これは米粒をどれだけ磨いたかを示す指標で、数値が低いほどより多くの米の外側が取り除かれ、内部の「心白」に近づいていることを意味する。

獺祭には精米歩合23%の「獺祭 磨き二割三分」という極めて高い精米歩合の酒があり、これは手間がかかり、原料となる米の大部分が失われるためコストが高くなる。味わいはフルーティで繊細な香りが特徴で、なめらかで上品な味わいがある。米の自然な甘みとうま味が感じられ、後味はすっきり。これは使用される水の品質と、精米と発酵の際の緻密な管理によるものだ。

サステナブルな日本酒造りのための排水処理へのこだわり

日本酒の製造過程で発生する排水には、米の洗浄や蒸し工程、機器の洗浄などから来るものがある。この排水は、有機物質(米の残渣や麹菌など)を多く含むため、適切な処理が必要となる。獺祭のように磨きにこだわれば、その排出量も多くなる。

旭酒造のある山口県岩国市周東町獺越(おそごえ)の排水処理は河川放流のため、その放流基準をクリアする必要があり、省エネかつ運転管理が容易な積水アクアシステムの生物膜処理装置と汚泥脱水機のシステムが採用されている。

「酒米を酒蔵の水で手洗いし、さらに磨き上げる。この酒米のとぎ汁と、製瓶工場から届いた新しいビンの洗浄水を積水の排水処理システムで処理し、河川に放流している」と、旭酒造の桜井博志会長は積水化学のエスロンタイムズの取材で答えている。そしてこの積水化学グループの排水処理システムをベースとして現地規制に対応させたものをニューヨークでも活用している。

 

獺祭ニューヨーク工場 排水処理棟

獺祭ニューヨーク工場 排水処理棟

ニューヨークの排水設備検査官がアメージングと驚く排水処理システム

冒頭に挙げた9月23日の完成式典で桜井会長は「実は排水処理棟の建設にも多大な費用をかけた。ニューヨーク州の排水設備検査官が、『これまで数多くの検査をしてきたが、このようにすごい排水処理設備は見たことがない。アメージングだ』と驚いていた。このことをとっても、わたしどもがどれだけこのハドソンバレーの自然と美しさに尊敬を持ち、共に維持していこうと考えているかをお分かりいただけると思う」と話した。

 

ニューヨーク工場全景

ニューヨーク工場全景

 

工場からの排水は排水基準値以下まで適切に処理する必要がある。積水アクアシステムは独自の排水処理機器を組み合わせることで、顧客の要望に沿った排水処理システムの提案を行っている。

今回の排水処理システムも、ニューヨーク州の基準に適合させるために旭酒造と協業してこれまでの実績を踏まえた設計が行われた。現地での運転管理は現地業者へ引き継ぎを行った上で、現地処理状況を遠隔でも確認できるように監視システムを導入した。これにより国内からでも排水処理システムの稼働状況が確認できるので、安定処理のサポートを可能とした。

桜井会長は式典で「ハドソンバレー、ハイドパークの地で“手間を掛けるSAKE造り”を実現しながら、アメリカの文化と日本の文化を融合させ、より素晴らしいものを発信していきたい」と話した。旭酒造の想いを形にしていく中で、積水化学グループは積水アクアシステムの排水処理システムで今後もおいしい酒造りと環境へのこだわりをサポートしていく。

 

完成式典での記念撮影 中央:旭酒造株式会社 桜井 博志会長 中央左:積水アクアシステム株式会社 今川 明社長

完成式典での記念撮影
中央:旭酒造株式会社 桜井 博志会長
中央左:積水アクアシステム株式会社 今川 明社長

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