ブドウも、働く人も。個性を大切にするワイナリー ~愛知県 小牧ワイナリー~
酒造・メーカー紹介
2015年4月に誕生した、愛知県小牧市の「社会福祉法人AJU自立の家 小牧ワイナリー」
障害のある方たちの就労支援の場として生まれ、ブドウ栽培からワインの生産、また販売に至るまで様々な仕事に携わっていらっしゃるようです。
コンテンツ
小牧市ってどんなところ?
小牧市は愛知県の北西部に位置し、名古屋市からは地下鉄などを乗り継いで一時間ほど北上したところにあります。
かの有名な織田信長が戦国時代に初めて築城した「小牧山城」は、現在史跡に指定されています。歴史的にもとても重要な場所なんですね。
余談ですが、日本で初めてワインを飲んだ人は織田信長らしいという説もあり……
しかしながらこれは日本ワインではなく、1543年にキリスト教や鉄砲とともに入ってきた「ポルトガルのワイン」なので、当サイトではここまでに留めておきましょう。
小牧ワイナリーの歴史と特徴
小牧ワイナリーの始まりは、岐阜県多治見市の修道院。1930年代よりワイン醸造をする国内唯一の修道院として存在しています。
畑作業をする修道士さんの高齢化や人材不足のため、20年ほど前から施設にてワイン事業のお手伝いが始まったようです。
小牧市の土壌は粘土質で寒暖差が少なく、また雨が多い気候のためブドウ栽培に適している土地とは言えません。しかし、小牧市の「福祉に関する見解」が一致したので、この地にワイナリー設立を決めたのだそうです。
小牧ワイナリーの特徴は、なんといっても「手作業」「自然のまま」を意識したブドウ栽培やワイン醸造を行っていること!
詳しくは次章以降でご紹介します。
畑・施設内の様子
就労している障害者の皆さんが働きやすいように畑や施設内も工夫されているようです。
例えば、畑!
ヤマ・ソーヴィニヨン以外は「垣根仕立て」という方法で、密植を避け株間をあけて栽培しています。
知的障害の方々は空間把握が難しく、上を向きっぱなしの作業は作業にムラができてしまうケースがあるようですが、垣根仕立てにすることで空間把握がしやすく、仕事の段取りやスピードなどにおいてもメリットが多いのだそうです。
ブドウ栽培には年間を通して様々な作業があり、単純作業もあれば複雑なものも存在します。
施設で働く方の障害の程度や特性に応じて、それぞれの良さを引き出す働き方ができるよう業務を分担しているようです。
施設内の設備にも数々のこだわりがあります。中央の赤いものは「コルク打栓機」なのですが、手動のものです。
障害者の方とはボトリング作業を一緒に行っていますが、その工程はほぼ手作業なのだそうです。
手作業にして分業・細分化することで仕事が生まれます。畑と同様、個性を生かした働き方ができるような工夫ですね。
施設内の多目的ホール
施設の中には多目的ホールがあり、季節のイベントのほか、貸し会議室としても利用できます。
ホール上部の窓には、修道院を思わせる「ステンドグラス」!この日はあいにくのお天気だったのですが、晴れた日は光が差し込んで綺麗でしょうね。
ワインへのこだわり
小牧ワイナリーは、自然派まではいかないものの限りなく自然な作り方でワインを作っています。培養酵母以外は自然のものを使い、無濾過で仕上げているのもこだわりの一つです。
現在は生産性の関係で、県内外からブドウを買ってワイン醸造をしています。およそ半数が自社ブドウ、半数が買い付けたブドウだそうです。
また、小牧産ブドウは収量が少ないためハーフボトルでの生産をしています。フルボトルに比べて生産性が下がり手間もかかりますが、「より多くの人に手に取ってもらいたい」という思いからハーフボトルなのだそうです。
タンクは主に200,300,500リットル程度の小さなものが多いです。
その理由は、
- 畑が点在しており、同一品種でも区画が異なると味わいも変わるため分けている
- 地上にある醸造棟と地下にある貯蔵庫との行き来が容易
というもの。
丁寧に造られた一本一本のワインがとても愛おしく感じられますね。
ショップではカフェがあるほか、有料試飲もできる!
ショップでは、ワインはもちろんドライフルーツや各種グッズなどが購入できます。
カフェも併設されていて、ランチや軽食を楽しめます。
そんな中、一際目立つのがこちら↓
小牧ゆかりの戦国武将・織田信長がこんなところに!
※こちらはアルコールが3.2%含まれているためご注意を。
食べるワイン「信長さまの紅い誘惑」とは!?
「お酒は苦手だけど、甘めのワインならほんの一口」そんな想いを”カタチ”にしました。
愛知県小牧産ワインを一部使用した本格ワインゼリー「食べるワイン」 パッケージも新たにリニューアル!
赤に加え白ワインゼリーも商品化 小牧ワイナリーの商品開発から生まれた、新感覚ワインスイーツをあなたに
※公式オンラインショップより引用
小牧ワイナリーのこれから
ワイナリーは9年目、ブドウの樹齢はもうすぐ10年を迎える小牧ワイナリー。担当の方は「これからがスタートです」と仰っていました。
最近のブドウの成長を見て分かることも増えてきたようです。
現在は日本の交配品種を主に育てていますが、ゆくゆくは西洋品種もチャレンジしたり醸造方法や畑の質を変えたりなど、大きな変化を起こすこともあるかもしれないとのことです。
また、障害を持った方がこのワイナリーで働くことでしっかりと収入を得て、 自立した生活が送れるよう、更なる生産性の向上や規模の拡大に注力していきたいと語ってくださいました。
これからの小牧ワイナリーにますます期待が高まります!