”出羽桜の後”に道を作りたい!IWC受賞酒からノンアルコールまでご紹介 ~山形県 出羽桜酒造~
酒造・メーカー紹介
IWCをはじめ数々の賞を受賞し、昔から現在に至るまで酒業界をけん引し続けている出羽桜酒造。皆様の中にも「出羽桜のお酒が好き」という方も多いのではないでしょうか?
受賞酒も多く華やかなイメージもある酒蔵ですが、既存のファン向けだけでなく、“日本酒に馴染が無い”初心者にも飲みやすいお酒の製造にも注力しています。
今回は、今年のIWC受賞酒から初心者向けの取り組みまで、更にお酒作りにかける熱い想いを出羽桜酒造の仲野益美会長に伺いました。読むと、また出羽桜のお酒が飲みたくなってしまいそう(笑)。
IWCとは?
毎年ロンドンで行われる世界最大規模のワイン品評会。”世界でもっとも大きな影響力をもつワインのコンテスト”とも言われており、2007年には「SAKE部門」が誕生。日本酒の海外進出における重要なイベントとして国内外で注目され、年々その価値を高めている。
コンテンツ
IWCを多数受賞している出羽桜
IWCでは過去に2回”チャンピオン酒”を受賞して日本初の快挙を遂げている他、トロフィーも多数受賞している出羽桜。様々な受賞酒はどんなお酒達なのでしょうか?
ユニークなタイプや特徴的なものをピックアップしました。
純米大吟醸 雪女神三割五分(IWC 2023 ゴールド受賞)
純米大吟醸用「雪女神」を35%まで惜しみなく磨いた、正に至高のお酒。実際、同社受賞酒の半分は「雪女神」を使用しているんです。ふくらみがありつつ、のどごしがすっと綺麗に切れていき、透明感のある味わいが特徴。全国で注目され続けている酒米です。
合う料理は?
透明感に溢れ、スッと綺麗にきれるので、刺身や白魚など魚系料理との相性が非常に良いそうです。
お酒が主張し過ぎて食事の邪魔をしないので、自然と食事の味を引き立てます。
微発泡 吟醸にごり とび六(IWC 2017 スパークリングトロフィー)
スパークリングのお酒は甘口が多めですが、出羽桜で造っているのはドライな”大人向けのスパークリング”。
くどい甘さはなく、食前酒でも食中酒としても最後まで飽きずに楽しめます。肉料理やBBQにピッタリです。
貴醸酒 SWeeeeeT(IWC 2021 銅賞)
貴醸酒なのでもちろん甘めですが、のど越しがよくきれも良いので、食事の締めの一杯でもデザート酒としても美味しく頂けます。
チョコレートやケーキとも好相性なので、お試しあれ。
日本酒になじみがない人に向けた”ノンアルコールドリンク”も充実
一方で、日本酒に馴染みがない人向けに”ノン(低)アルコールドリンク”にも注力しています。
出羽桜 甘酒
甘酒は、贅沢に吟醸磨き(用)麹を使用しているので、従来の甘酒にはないようなスッキリとした甘さと粒々の食感を楽しめますよ。
出羽桜 蔵ふとコーラ
吟醸酒の麹造りと同じ製法で造った米麹の甘さと、厳選されたレモンやクローブなど7種類のスパイスのハーモニーを満喫出来ます。米麹の粒々の新食感も魅力。
出羽桜 リキュール
ベースに吟醸酒を使っているので、香りや甘みが引き締まり絶妙なバランスに仕上がっています。山形産のラフランス、桃、りんご、さくらんぼを活かしたものなど充実のラインナップ。
桃は”720ML”に5.5個分の果実が入っていて、果汁がドロリとしたネクターのような濃縮感。クイっと飲む手が止まらなくなるフレッシュな美味しさです。
瓶の中には日本が詰まっているんだ!
自分の蔵だけのびても意味がない!他メーカーの師弟の育成にも尽力
仲野会長
他メーカー(蔵)から「自分の師弟を出羽桜で育成して頂けないか」というご依頼もよく頂きます。これまでに、喜田屋、天鷹、八兵衛、七笑、霧筑波、鳳陽、手取川、浅間、利根錦など、数多くのメーカーの方々を育成しています。大吟醸酒を中心に、私や出羽桜のスタッフと一緒にじっくり酒造りを学ぶことができ、既に20名以上を育ててきました。
そして、卒業した後も参加者同士で情報交換をする会を設けるなど、絆もとても深いんですよね。
酒造り技術は、隠せば良いというものでもない
例えば、飲食店などでは「代々作っている秘伝ソースの造り方は明かさない」という話も聞くことがありますが、酒造りの場合はどうなのでしょう。
技術は各蔵ごとに色々あり、手の内を互いに見せないものかとも思われますが、出羽桜の場合はどうでしょう?
仲野会長
弊社は特に隠したりはしません。というのは、酒蔵の技術面に関しては(遅かれ早かれ)必ず相手に並ばれると思っているからです。
自分達だけでなく、当然相手も日々切磋琢磨して必死でついてくるので、隠し続けたところであまり意味がない。逆に、隠していると(手の内を見せていないから)まだ追いつかれない、大丈夫だろうと思い、より良い酒造りの為の技術の発展が遅くなってしまう側面もあると思います。
むしろオープンにしているところにこそ、真の情報が詰まっていると思うんですよね。
スタンスは“敷かれた道を進むのではなく、出羽桜の後に道が出来る”
「日本酒全体の底上げをしよう」という仲野会長強い信念を感じました。道を切り開き続ける出羽桜がどんなお酒を造りだすのか楽しみですね。
出羽桜酒造 出羽桜酒造株式会社 | 山形から日本酒を世界へ (dewazakura.co.jp)
仲野会長
日本酒の売れ行きは昨今海外では好調ですが、国内では苦しい戦いを強いられています。しかし、そんな中でも出羽桜は一歩でも前進する新たな挑戦を続けていきたいと思っています。
日本酒の瓶の中には日本(の良いところ)がギュッと詰まっています。出羽桜で言えば、山形の蔵人や造り手の想いが濃縮されているんです。日本酒は、炭酸、古酒、甘口、ドライなど、様々な楽しみ方があるのも魅力。
希少価値のお酒も良いのですが、まずは日本酒自体の魅力を広げていくべきだし、出羽桜はその役割を担っているとも思っています。その為にも、既存の方々だけでなく(まだ日本酒を知らない)若い人達のすそ野も広げていくことが重要だと思います。