自由な酒を造ろう! Vol.03 「農家・どぶろく醸造家・発酵料理人」3つの顔をもつ鉄人が作り出す驚愕の酒

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自由な酒を造ろう! Vol.03 「農家・どぶろく醸造家・発酵料理人」3つの顔をもつ鉄人が作り出す驚愕の酒

最近耳にする機会の多いキーワード「クラフトサケ」。でも実際どんなものなのか、いまいちピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ということで、今注目の「クラフトサケ」をひも解きながら、その魅力にせまります。

3回目は、「自然栽培の米農家・どぶろく醸造家・凄腕の発酵料理人」と、一人何役もこなす佐々木要太郎さんの「権化シリーズ」をピックアップします。(取材協力:日本酒と食のジャーナリスト 山本洋子さん)

 

日本酒と食のジャーナリスト・地域ブランドアドバイザー「山本 洋子」さん

日本酒と食のジャーナリスト・地域ブランドアドバイザー「山本 洋子」さん

 

「とおの屋 要」のオーナーシェフ、佐々木要太郎さん

農家・どぶろく醸造家・発酵料理人と様々な顔をもち、食をベースとしたマルチな活躍で国外からも注目を集めています。  

 

岩手県遠野市にある「とおの屋 要」のオーナーシェフ、佐々木要太郎さん

岩手県遠野市にある「とおの屋 要」のオーナーシェフ、佐々木要太郎さん

独学料理から始まり、米作り、どぶろく醸造、国外からも人気宿のオーナーへ

江戸時代から続く武士の家系に生まれ、高校卒業後は100年余り続いてきた民宿「とおの」を4代目として継ぎました。

料理の基礎を父から学んだ後、独学で料理を極め、2002年に久しく絶えていた在来米「遠野一号」を復活させて、無農薬無肥料の米づくりをスタートします。

  2002年に久しく絶えていた在来米「遠野一号」を復活

 

また2003年に遠野市が「どぶろく特区」を申請したのに合わせ、どぶろく造りもスタート。

10年以上の試行錯誤を経た末、一般的などぶろくとは異なるエレガントな味わいをみ出すことに成功しました。

 

どぶろく バリエーション「スタンダード」

 

どぶろくを中心とした発酵食を深めていく過程で、”熟成技術”も身につけ、干肉、チーズ、サラミ、酢など、様々な発酵食を自分の手で作り出していきます。

 

8年ものの干し肉

8年ものの干し肉

 

2011年には、民宿の隣に1日1組限定の古民家オーベルジュ「とおの屋 要」をオープンし、発酵料理の提供をスタート。

その場にある食材に、独自の手法で”発酵”という魔法をかけて仕上げる料理とどぶろくが好評となり、一般客だけでなく、国内外のシェフ、ソムリエ、蔵元、名だたる食のプロなども多数訪れ”予約困難な人気宿”として、不動の人気を確立していきます。

 

畳が香る、日本の「和」を感じられる和室

畳が香る、日本の「和」を感じられる和室

無農薬の米100%、究極の酒「権化シリーズ」

日本酒と食のジャーナリスト 山本洋子さんも「飲んで本当に驚いた」と話すのが、無農薬、無肥料栽培米を駆使した米100%の究極の酒、「権化シリーズ」。

 

無農薬の米100%、究極の酒「権化シリーズ」

権化シリーズ、左から「木桶・ピート・マロ・モクシュラ」

 

 

木桶で醸し、無農薬、無肥料栽培米の遠野1号稲(藁・米糠・白米)を使用した「無濾過生原酒」です。「土と米が健全なら、こんなに深みのある香ばしさを感じられる味に仕上がるものなのか!」と、飲む側をうならせてしまう、正に佐々木さんのこだわりを形にしたお酒です。

 

「水もと」酵母無添加で仕込み、醪日数は150日を超え(水もと酒母日数から数えると)180日を超えており、仕込みに相当な時間をかけています。

健全な土から育つ健全なお米を飯米程度に磨き、添加物を使用せず自然な菌達だけの力で発酵させることで、土地の味わいを醸しています。

また、糠の香ばしさ、フルーツ感、アクセントを感じる酸味も魅力。 自然の優しい酸味と、住み着き酵母が生み出すキレのあるアルコール感が癖になります。

 

「水もと」って何?

「菩提もと」の別名。酒母造りの方法で、鎌倉時代(1200年)~南北朝時代(1300年)以降にかけて造られたと言われています。

水・お米のみを使用し天然の乳酸菌を繁殖させ、仕込水を造り(そやし水)、この仕込水に蒸米と米麹を入れて、天然の酵母菌を繁殖させて醸す仕込方法です。

どぶろく造りで農家を支援するプロジェクトも開始

佐々木さんは、理想のどぶろく造りに欠かせない原料の米も無農薬、無肥料で一貫して栽培してきましたが、2017年からは、この活動に賛同してくれた米農家から適正価格で仕入を行っています。

「どぶろくのポテンシャルに手応えを感じている今、事業が拡大した先には日本の農業を活性化できるかもしれない。また、米農家にどぶろくの栽培方法を伝授していくことで、冬の間に自身でどぶろくを製造し販売できるようになり、生活の安定に寄与できる」と考えているのだそうです。

 

どぶろく造りで農家を支援するプロジェクトも開始

 

これまで10年以上どぶろくを製造してきた「とおの屋 要」は、次のステージへ着実に歩みを進めています。

国外からも注目!世界へ向けての歩み

2017年には、スペインの世界的レストラン「ムガリッツ」で、どぶろくのためのコース料理が新設されました。

2021年には「The World’s 50 Best Discovery 」に東北で唯一選出され、リストイン。

また「The Japan Times Destination Restaurants 2021」で世界の人々のための日本のレストラン10店舗に選ばれれるなど、世界でも知名度を上げるべく、前進し続けています。

 

国外からも注目!世界へ向けての歩み

 

http://tonoya-yo.com/

 

次回は、「クラフトサケだから出来うる未来」について考えてみたいと思います。

取材協力

日本酒と食のジャーナリスト・地域ブランドアドバイザー「山本 洋子」さん

 

日本酒と食のジャーナリスト・地域ブランドアドバイザー「山本 洋子」さん

鳥取県境港市「ゲゲゲの妖怪の町」生まれ。

雑誌編集長として、素食やマクロビオティック・玄米雑穀などの日本古来の食の良さを啓蒙し、発酵調味料・米の酒などを紹介。

独立後、地方に埋もれた「日本の食のお宝!応援」をライフワークに、講演活動や、地域食のブランディングアドバイザー、純米酒&酒肴セミナー講師、酒と食文化のジャーナリストとして全国を駆け回り中。

 

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