非効率でも良い酒造りは守り抜く。”全量槽袋絞り”にこだわる「時代に合った手造りの技術」-熊本県 河津酒造-

酒造・メーカー紹介

非効率でも良い酒造りは守り抜く。”全量槽袋絞り”にこだわる「時代に合った手造りの技術」-熊本県 河津酒造-

 

 

河津酒造の紹介・考え方

河津酒造」は、創業の昭和7年、熊本県の中でも新しい酒蔵です。

高度経済性成長からバブル期までのピーク時に2,000石程度の造りを行なっておりました。

日本酒離れや他のアルコール類のブーム、人口減、味覚の変化と日本酒の技術のミスマッチングを原因に年々生産量が低下し、2010年には約200石ほどの生産量となりました。

 

酒蔵の歴史が細く消えようとした近年、流通の発展、高度情報化社会となり、手軽に距離のある他県のみならず国外のお酒も比較的簡単に手に入る社会環境となり、この多様化の社会を生き残るための日本酒造りとはなにかを見直す時期となりました。

 

 

「河津酒造」は、創業の昭和7年、熊本県の中でも新しい酒蔵

 

トレンド、最新の技術・機材の情報などお酒の変革に必要な情報を入手することは容易となりましたが、それを使う人の経験とマインドは一朝一夕には獲得することができない価値のある”技術”であると考えます。

もちろんそれを簡略化する機材の導入や、感覚値を数値化することは酒の質の安定化、労働人口の減少を打破するためには非常に大切です。

 

ただし、行き過ぎた効率化は非効率を産むことがあるため、これから百年後、2百年後、文化を継承する義務と責任のある企業として”効率を生む非効率の最大化”つまり、手で作り上げる究極的に美しい日本酒を目指していきたいと考えております。

 

手で作り上げる究極的に美しい日本酒を目指して

特徴やこだわり・目指している未来

お酒はどこまでいっても嗜好品です。

同じ値段の靴は遠くまで人の心を運んでくれます。同じ値段の本は読んだ人の可能性を広げる知識を与えてくれます。お酒を飲む瞬間は長い人生のほんのひとときです。

 

その一瞬に「河津酒造」のお酒を選んでいただいたこを誇りに思うこと。その一瞬に最高のお酒を提供することにプライドを持つことを一日一日積み重ねることが文化となるのであれば私共本望です。

 

河津酒造

 

一つの銘柄にこだわることはせず、一期一会のお客様が飲んでみたいと思えるような商品づくりをしています。

 

乾杯からデザートまでのフルコースが活きるように商品設計を行なっておりますので原料の磨きかた、辛口から甘口、酸度のコントロール、麹づくり、酵母を活かす酒造り、貯蔵技術を駆使した熟成、日本酒づくりはお客様から工程が見えにくい場面がたくさんあるが故に、見えないところに徹底的なプライド・こだわりを持って全てお客様の一瞬の嗜好のために常日頃より磨いております。

 

お客様の一瞬の嗜好のために

 

蔵の設備的な特徴は、全量槽袋絞りを行なっております。

槽絞りにこだわる理由は、強く絞ろう、ゆるく絞って雑味を少なくしようという時代に合わせた味の調整が効くためです。

大量に造ることが目的ではなく良いものを提供していくためのこだわりです。

 

全量槽袋絞り

 

お米は熊本県産を中心として、特にこだわっているお米は新潟県から種籾をお預かりをしている「一本〆」米です。

地元農家さんと一緒に全量掛け干し有機栽培こだわり抜いた製法で10年以上テロワールを行なっております。

 

「一本〆」米

エピソード

毎年、経験したことがない技術をとりいれたお酒を3~5本程度の試験醸造を続けております。

その取り組みから生まれた超甘口や、スパークリング、ライチの香りのするお酒、赤酒など日本酒の可能性の可能性を体感しています。

 

花雪 AGEHA スパークリング

花雪 AGEHA スパークリング

 

これまで蔵になかった技術を取り入れることで新しいお酒が生まれその技術を組み合わせることでさらに新しいお酒が毎年生まれています。

若手にもチャンスがあることは未来にお酒を繋いでいくために必要なことです。毎年タンク一本は若手が設計し、造り、売るところまでの一連の流れを体系付けています。

 

古き良きということは同じことを繰り返し守っていくこともあるかもしれませんが、それだけでは創業当時のフロンティア精神は忘れ去られてしまいます。

古いけど良いもの、新しくて良いものを見定めて取り入れることを日々行なっております。

 

文:河津酒造 株式会社
協力:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG

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