「五感で醸す。」自分にしか出来ない一本の筋の通った酒造り。-愛媛県 武田酒造-
酒造・メーカー紹介
武田酒造について
地元「西条」を思い、醸す酒
「武田酒造」は、創業当初より瀬戸内海の淡白な味わいの小魚に合うような酒造りを行ってきました。お米の旨味を引き出し、尚且つ、適度な酸によってお酒全体のバランスをとり、後味も軽快なお酒を理想とした酒造りをしています。
主に地元向けの普通酒も毎年仕込んでおり、普通酒も1級酒や2級酒がありますが、その中でも『2級酒の味を大事にしろ!』と代々言われてきました。というのもやはり普段から毎日晩酌としてご愛飲頂いているお客様をより大切にしなさいと言う思いを先代は伝えたいのだと思います。
「武田酒造」では、地元西条産の米「松山三井」を大切にしており、今年も9割使用して造りを行っています。
伊方杜氏流の造り
先代杜氏は、愛媛県の伊方町というところの伊方杜氏と呼ばれる杜氏集団でした。愛媛県には「越智杜氏」と「伊方杜氏」の2つ杜氏集団がいました。もう、杜氏の高齢化によりどちらの杜氏組合もなくなってしまいましたが、その製法を引き継いだ杜氏が今も県内で活躍しております。「武田酒造」もその中で伊方杜氏流の造りを後継しております。
五感で醸す。自分にしか出来ない一本の筋の通った酒造り
現杜氏の「武田 昇三氏」は、大学では建築を専攻し、建設会社でも何年か働いておりました。そして、先代の杜氏のお酒に感動し、この道に入りました。自分の思い描いた図面通りにいかないことが多い世界ですが、そう言ったところもやり甲斐の一つになる職種だと感じ、また思い描いたようなお酒が出来た時の感動が何物にもかえられないものだと感じ、今も理想を追いかけています。
先代の杜氏のもとで8年、そして杜氏としては10年目になります。いろいろ、この10年にてチャレンジもしてきており、この10年目で一つの自分の酒造りを形にしたいと今年も頑張っております。
武田氏のモットーは、「五感で醸す。自分にしか出来ない一本の筋の通った酒造りをする」です。これは、フルに五感を研ぎ澄まし、製麹、酒母や醪管理をするということです。分析値以外でも香りや泡の形など常に変化を見逃さない様なそんな酒造りを心掛けています。
文:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG