「目指す酒質はあくまで日常酒」1杯からではなく3杯目に続く酒。-栃木県 杉田酒造-
酒造・メーカー紹介
「杉田酒造」の特徴は「日本酒らしい日本酒」です。特別な酒ではなく日常酒(晩酌酒)をメインにしております。
大吟醸でも燗付けできるお酒、香りより味わい重視です。
最近、飛び込み営業先で「昭和の酒だな」と表現された酒販店様がいらっしゃいます。最高の世辞です。
蒸かしは和釜を令和1酒造年度まで使用しておりましたが、弊蔵が川のそばにあり、湧き水の影響で湿気がひどく釜内部耐熱煉瓦に悪影響が大いにありました。
また、二度の水害を経験し現在はボイラーを使用しております。
搾りは「佐瀬式槽」を使用しております。
- 搾り期間は2日間。酸化の影響はあるが香り系はメインでないので、時間をかけて搾り雑味を少なくするため。
- 衛生管理。薮田は一度くみ上げると完全洗浄が困難である。槽ならば酒袋は常に洗え槽内も洗浄殺菌が常にできる。
等の理由です。
特殊な酒として「ピンクのにごり酒」を20年近く造り続けております。
生酛造り
仕込水未加工。培養乳酸菌未使用。酵素剤未使用。米と米麴のみ。添加物は酵母のみ。山卸は機械ではなく櫂で。
年々生酛造りの比率は上がっております。
こだわる理由はいくつかあります。その理由の一つに生酛造りについて大変お世話になった先輩へのご恩返しがあります。
生酛造りはじめの年に12月31日18時過ぎの電話相談にも「こんな大暮に」とおっしゃりながら1時間以上助言をいただきました。
また、私の為に1本生酛を仕込んでくださいました。「言葉では伝えられないから。この香りが乳酸菌の増殖する際にでるものだ。覚えておけ」と。
最高酒質の生酛造りを造ることが先輩へのご恩返しと心得ております。
「先輩から受けて、ありがたいと思った事はお前が後輩へ同じことをしろ。そうやって繋がっていくものだ」ありがたいことに蔵元の諸先輩方には大変恵まれており、それに続くことを造り手の一人として目指しております。
目指す酒質はあくまで日常酒。長く呑める酒です。ターゲット層は、酒呑み歴20年以上の方がメイン。香りは控え目。甘味控え目。酸味控え目。1杯からではなく3杯目に続く酒。
文:杉田酒造 株式会社
協力:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG