成長著しい、異色のワイナリー ~サンサンワイナリー~
酒造・メーカー紹介
「サンサンワイナリー」は、社会福祉法人サン・ビジョンの一員という、ちょっと変わった経歴を持つワイナリーです。
ワイナリーの設備は素晴らしく、畑と真摯に向き合う造り手の情熱で、素晴らしいワインを造っています。
ワイナリーのご案内や畑のお話し、ワイン造りのこだわりなどを醸造責任者の田村さんにお伺いしました。
コンテンツ
遊休耕地を未来へつなげる
農家の高齢化が進み、遊休荒廃農地が増えるのはサンサンワイナリーの本拠地、塩尻だけではないはず。今や全国の農家で抱える問題かもしれません。
サンサンワイナリーの母体は社会福祉法人。だからこそ、高齢化の問題解決に一肌脱ごうという姿勢がそもそもあったのでしょう。
現在、ワイナリーからの眺めは最高です。遠くに見える北アルプスをバックに、眼下に広がるブドウ畑。以前は荒れ地だったなんて信じられません。
「こうした風景を次世代のこどもたちに残したい」その思いが伝わってきます。
洗練された設備
使い勝手の良い発酵タンク室
ワインの発酵樽にはそれぞれ温度管理ができます。また足がついてて、ステンレスタンクの底面までしっかり清掃出来たり。
部屋の天井もいです。樽を覗くこともできる高さに、壁際を歩く「キャットウォーク」のようなものもあります。これは、タンク内の果汁をかき混ぜる(ルモンタージュ)の際にも便利だそうです。
清潔な瓶詰め室
瓶詰め室の清潔さは、他には類を見ないほどでした。
ワインを瓶詰めしたボトルに異物混入はもちろん、微生物の混入も許さないようになっています。
瓶詰めの部屋には、空気の通り道の窓や排水溝にまではメッシュ構造の幕がついていて、空気以外はできるだけ入らない構造です。
天然酵母すら入らないように減圧室となっています。確かに少しの酵母の侵入により、瓶内で発酵が始まってしまいますからね。
分析もしっかり
成分を分析する部屋もしっかり完備。ワインって科学だなって感じられます。
分析を通じて、ブドウの成長度合いを測ったり、ワインの糖分分析もしたりします。
もちろん造り手の感覚も大切ですが、それをしっかりと科学で後付けすることで、より正確なものが造れるようになるのです。
ヨーロッパでは、親や代々引き継いだ製造法。伝統を受け継ぎ、感覚を大切にする。アメリカなどのニューワールドではデータや分析で実績を上げていく。
どちらのいいところもとっていく。まさに日本ワインの姿がここにありました。
本格派で「上品」なワインのラインナップ
感動のナイアガラとコンコード
ナイアガラはブドウの名前で、長野でも多く造られている白ワインです。
基本的には甘口フルーティーで飲みやすく、あまりワインを飲みなれない人でもスッと入ってきて美味しいと感じると思います。
でもそれは逆にワインを飲みなれている人にとっては、「ちょっと甘くて」となってしまうわけです。ワインは基本、食事と合わせて楽しむものなので、甘いワインより、酸味がしっかりしているものの方がいいとされます。
ところがサンサンワイナリーのナイアガラは、酸が締まった感じでとてもすっきりしています。
これは美味しい!私のナイアガラ感をすっかり変える一品でした。
そして、コンコード。ほとんどが長野で造られる赤ワインとなるブドウです。
こちらは逆に辛口ワインにしようとすると、酸味を強く感じられることが多いです。
そこをしっかり果実の味を引き出し、ふくよかな仕上がりとなっていました。
変化球のシードル
シードルは、これまた驚きのラインナップ。
リンゴの名産地長野において、もちろん長野県産のリンゴ。でもジェネバという品種で、カナダ生まれ。
もう一つはアメリカバージニア州産のバージニアクラブ。
どちらも海外生まれのリンゴなのです。
リンゴの名産地である長野で、あえての海外生まれのリンゴで造るシードル。こういう変化球が造り手のこだわりですね。
長野県のワイナリーはシードルを造っているところも多いです。同じ地域で造っていても、各ワイナリーの考え、こだわりで色々と違うものが造られます。
ぜひ飲み比べてみてください!
濃厚、ポムデセール
リンゴの美味しいところだけを詰め込んだ、ポムデセール。その名の通り、リンゴのデザートワイン。
リンゴの美味しさがストレートに感じられます。濃厚なアップルパイを食べているような感じ。
それだけでも十分いいデザートになりますが、リンゴチップスやビターなチョコレートと合わせてもいいです。
エレガントなシャルドネ&メルロー
長野はヨーロッパ品種のブドウから造られるワインがとても美味しいです。
「シャトーサンサンシリーズ」は収穫制限もかけ、発酵樽でゆっくり熟成されます。
シャルドネは優しい柑橘の香りと共に、上品な樽のバニラの香りが特徴です。メルローも黒い果実の香りと優しい緑と樽の感じがします。
どちらの味わいも上品でエレガント。「品がある」まさにこの言葉がぴったりなのです。
また昨年末の「ジャパン・ワイン・チャレンジ 2022」では最高賞のトロフィー賞を受賞しました。納得の味です。
挑戦し続ける姿勢
賞を受賞してもまだまだ進化し続けます。
シャルドネ、メルロー、シラーに加えて、ピノ・ノワールにも挑戦していくとのことです。
ピノ・ノワールはとても繊細なブドウで、つくるのも大変と聞きます。
「蜂がピノ・ノワールを選んで食べていくんです!」
なんと、蜂もどのブドウが美味しいかを知っているんですね。だからこそ、色んな注意が必要で大変なブドウ。
そんな大変なブドウから造られるワインはやっぱり特別で、おいしくて。
ワイン好きなら、大好きなピノ・ノワール。いつか、出来上がったピノ・ノワールを飲んでみたいです。
醸造責任者の田村さんに色々お話しお伺いしました。
腰柔らかで、楽しくお話してくださる田村さん。「ワイン大好き!」がヒシヒシとお話から伝わります。
田村さんが造るワインは本当にエレガントで上品なワイン。これからも毎年、飲み続けていきたいワインです。
ワインのリリースは2015年からとまだ新しいワイナリー。これからもさらに飛躍をすること間違いなしのワイナリーです!
ワイナリー情報
- ワイナリー名:サンサンワイナリー
- ウェブサイト:https://sun-vision.or.jp/sunsunwinery/
- 住所:〒399-0722 長野県塩尻市大字柿沢日向畠709-3
- 電話番号:0263-51‐8011