審査員や酒検定も★女性目線で企画している「SAKE女・サケジョの会」とは?
イベントレポート
昔は「日本酒を飲むのはおじさま」というイメージがありましたが、日本酒好きの皆様もご存知の通り、昨今は日本酒を楽しむ女性も増えていますよね。背景として、“女性が女性に日本酒の魅力を勧める活動”がより活発になっている”ことも一因のようです。
今回は、国内外でパワフルにそんな活動をされている女性をご紹介しましょう★
筆者は、日本酒の魅力を広く伝える“日本酒の伝道師”として活動している「Sake Samurai」叙任式を昨年レポートしました。
今回は受賞者の一人、日本のSAKEとWINEを愛する女性の会、通称「SAKE女・サケジョの会」 代表理事の友田晶子さんにお話を伺いました。
SAKE女・サケジョの会とは?
この会を一言で表すなら「日本酒、ワイン、焼酎、ビールなどお酒全般に関して楽しく学べる場」。四角四面に学ぶのではなく、楽しみながら知識を得られる企画が沢山用意されています。
具体的な活動内容は、賛助会員のメーカーや蔵元をお招きしてのセミナー。
参加者が話を聞くだけでなく、試飲しながらざっくばらんに話せる蔵元と飲み手を繋ぐ場を提供している他、日本酒、ワイン、焼酎などの知識を身に着ける「料飲おもてなし SAKE女検定」を運営したり、フランスで行われるお酒のコンクールで審査員をしてもらう旅企画などもあります。
女性達の声を実現、でも男性もOK!
友田さん
私は元々ソムリエですが、ワインのみならず、日本酒や焼酎も仕事に取り入れたいと「トータル飲料コンサルタント」という肩書で活動してきました。
その中で、同じようにすべての酒類と食、その周辺文化を愛する女性が多いと知り、女性たちの力を集めた組織を造りたいと考え(一社)SAKE女の会を2016年に立ち上げました。現在2,000名を超える一般会員様が在籍しています。
“女性の会”ですが、活動に共感してくれる男性も大歓迎!現在は2割ほど男性会員もいらっしゃいます。
コンクールの開催にも挑戦!
友田さん
フランスで行われている女性ワイン専門家の審査による国際ワインコンクール「フェミナリーズ世界ワインコンクール」のお手伝いも2017年から行っています。コンクールの審査員をしたい会員様を募集し(審査に受かった方は)フランスでコンクールの審査員をして頂いています。
気になるのは日本酒国内消費の激減です。「日本酒を飲みたいが選べない」「ラベルを見ても味がわからない」といった声をうけ、何かできることはないかと考える中で、「フェミナリーズ」を参考に、国内初の女性審査員による日本酒コンクール「Japan Women’s SAKE Award ~美酒コンクール~」開催を思いつきました。
友田さん
女性は市場を動かす力がありますし、公的資格を持っている女性たちの活躍の場の創成にもつながります。さらに、特定名称ではなく、フルーティー部門、ライト&ドライ部門、リッチ&ウマミ部門といった香味別分類で審査する画期的な取り組みを行いました。
日本酒を飲みたい方への指標としたく、発展させていきたいとの事でした。初回だったので全て手探りで準備や運営は大変だったそうですが、まだまだ改善の余地も多く、より良いものにしていくべく第2回目も準備中だそうです。
今後は地方の活性化も視野に入れて
友田さん
美酒コンクールは、國酒や伝統の継承、女性活躍に加え地酒と共に地方の活性を図ることを目的としていまして、今後も毎年やっていきたいと思っています。
今回は東京での開催でしたが、2024年は北陸新幹線福井敦賀開業記念と令和6年能登半島地震を受けて「北陸応援」の意味を込めて北陸を予定しています。
エントリーや審査員の方々がどの位集まるかは未知数ですが、地方の方々からは「いつも東京や大阪での開催ばかりなので行きたくても行けない」という声がありましたし、むしろ地方の方が参加しやすいという方も多数いらっしゃいます。各地方での盛り上がりも目指したいので、今年以降も注力していこうと思います。
この他、酒蔵ツアーなど、お酒を楽しみながら学びたい人にとって興味深い企画を沢山企画していくそうなので、今後も楽しみですね!
取材を通して感じたのは…
周囲の声をどんどん実現していく友田さんの行動力とフットワークの軽さ。「こういう場があったら嬉しい」という現場の声は企画サイドに届きにくいことも多いのですが、友田さんは着実に形にしていくので、参加者との信頼関係も築きやすいのではないかと感じました。
お酒の作り手と飲む側をうまく繋げる為の発想力と行動力で、今後も酒ラバーズにとって益々面白い展開を期待できそうです。
因みに「SAKE女・サケジョの会」は入会無料で、各イベントに参加する場合に個別に費用が発生する仕組みなので、入ってみて興味のあるものをゆっくり探せるという気軽さも魅力の一つかもしれません。
友田晶子さん
米どころ酒どころ福井県に生まれる。品貿易会社に勤務、ワイン輸入販売に携わり、フランス留学を決意。一番弟子として田崎真也氏オーナー、ワインバー「アルファ」(銀座)代表を歴任。業界30年以上のキャリアと女性らしい感性を活かし、酒と食に関する一般向けセミナー・イベントの企画・開催などプロ向けコンサルティングと研修を行っている。現在はお酒を通じて女性の教育・活用 社会進出支援に力を入れる(一社)SAKE女の会代表理事として活動中。
友田さん
お酒自体の美味しさだけでなく、酌み交わす人達同志での会話を楽しむのもお酒の醍醐味。何気ない会話からも、楽しい、嬉しい、ありがとうなどの気持ちも生まれたりするものです。
お酒のプロでなくても、知識を基に気持ちの良いおもてなしができたら、そして、そんな“おもてなしの花”があちこちで開いたらとても素敵な事。楽しくお酒を学びながらおもてなしの心を育むような場を作りたいと思っています。