小松酒造の創業は江戸時代末期。母屋の壁には大正から昭和にかけての新酒鑑評会の賞状がズラリと並ぶ老舗です。第二次大戦中は海軍御用達の清酒「宣陽」を造り、前線基地で兵士達に愛飲された歴史もあります。平成元年までは清酒「万齢」、焼酎「おおち」を醸造するとともに、大手酒造メーカーの委託製造を引き受けるなどしていました。しかし、清酒、焼酎の消費量の伸び悩みにより 大手メーカーとの取り引きを中止。平成2年には清酒と焼酎の自社製造をも休造する事態となってしまいました。平成7年、東京で証券マンをしていた長男の小松大祐(現社長)が帰郷し、家業を継承。当初は他社に委託製造していた酒を持って営業に出たものの、自分の売る酒に自信が持てず、「自分の蔵の酒でなきゃあ、これ以上売れん。 もう一度酒を造ろう」と決意。広島の国税庁醸造研究所に入所し、酒造りの勉強を一からはじめ、退所した後も経験不足を補うため島根県の酒造会社に蔵人として入り、酒造りの全工程を体得。そして、いよいよ平成10年からは社長自ら杜氏の役を担い、8年間休造していた蔵を復活させるに至りました。