ビールってどんな酒? vol.6 「エール系 その② ~”IPA”は、クラフトビールブームの火付け役!~」

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vol.6 「エール系 その② ~”IPA”は、クラフトビールブームの火付け役!~」

今回はビアスタイルの大きな分類の一つ「エール系」の第二弾をお届け。「IPA(インディア・ペールエール)」という言葉、お酒を飲む方なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

第一弾で、そもそもエール系って何? ということについて解説しているので、ぜひそちらもお読みください。

 

ビールってどんな酒? vol.5 「エール系 その① ~奥深き世界~」

IPAがブームになるまで

ペールエールをインドに運ぶために生まれた

ペールエールをインドに運ぶために生まれた

そうなんです。だから、「インディア・ペールエール」。めっちゃ覚えやすいでしょ? アルファベットが並ぶ略称にアレルギーのある人(僕もけっこうそっち寄り)も、この生まれた経緯さえわかれば、明日から声高らかに「IPA」と叫べる!はず。

発祥は18世紀末のイギリス。当時はペールエールがブームを迎えており、植民地であったインドにも輸出がされていましたが、なにしろこの時代は輸送手段が船しかありません。長距離におよぶ航海を経て、ビールの質が落ちたり、腐って飲めなくなってしまっていたのだとか。

そこで、ホップを大量に投入してアルコール度数を高め、保存に特化したペールエールが開発されたのです。このビアスタイルは一世紀ほど人気を博しましたが、20世紀に入ると徐々に衰退していきました。

ブームの再燃はアメリカから

ブームの再燃はアメリカから

 

事の発端は、1970年代にホップの新品種「カスケード(Cascade)」が開発されたこと。それをアメリカ・カリフォルニア州のビール醸造家が実験的に用いて、「独特の柑橘系フレーバーが、強い苦みとマッチしてこのうえなく心地よい」一杯を生み出したのです。

それまでにも、バドワイザーなど大手ビール会社に対抗する形で、独自のビール開発にいそしむ小さな醸造家(クラフトブルワリー)はアメリカに存在していましたが、この新しい味わいとスタイルが、「クラフトビール」を世に広める大きなきっかけとなりました。

そして、当時のどれにも馴染まない独特なビアスタイルに、忘れかけられていた呼称「IPA」が採用されたのです。

ちなみに「クラフトビール」とは、ものすごく簡単に言うと、「小さな規模の醸造家が自家製したビール」のことなんですよ。

「ホップ」を感じたいならIPAを飲め!

「ホップ」を感じたいならIPAを飲め!

 

上述のような経緯があるので、IPAの特徴をひと言で表すなら、ずばり「ホップをダイレクトに感じられる」ということに尽きるでしょう。

麦芽(モルト)はなんとなくイメージがつくけれど、ホップって結局なんなの? と思われる方は、ぜひ一度IPAと名のつくビールを飲んでみてください。ホップ独特の香りと苦みを、存分に感じてもらえるはずです。

特にラガーを飲み慣れていると、はじめはかなり苦みが強く感じられるかもしれませんが、これがクセになってIPAにどっぷりハマってしまう人も少なくないんですよ。

「ビールは食事のお供」というイメージは一度脇に置いておいて、「IPAの味をメインに、それに合うアテをいっしょに楽しむ」ととらえると、入りやすいかもしれません。

代表的なIPAをご紹介

ニューイングランドIPA※写真はニューイングランドIPA

 

現在では、IPAとひと口に言っても様々なスタイルが存在します。ここでは、まず知っておくと好みの味わいを探す手がかりになるスタイルをご紹介しましょう!

※記事中の<スタイルDATA>は、『ビールは楽しい!(ギレック・オベール著/河 清美訳/株式会社パイ インターナショナル発行)』を主に参照しています。

 


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アメリカンIPA

「クラフトビール」を世に広めた立役者とも言えるスタイル。香り高いホップを大量に用いることに加え、発酵を終えたあとのビールにフレッシュなホップを追加投入する「ドライホッピング」によってその特色をさらに際立たせています。鮮烈な香りと苦みが、やみつきになるかも。

<スタイルDATA>発泡性:中~強/苦味:強~極強/甘味:弱~中/アルコール度数:6.5~7.5%

ダブルIPA(インペリアルIPA)

IPAの強化版。通常よりもさらに多くのホップを使用しています。香り・苦みなどのバランスを取るため麦芽の使用量も多く、アルコール度数も高め。ホップの弾けるような香りと、「口の中をえぐるような」とも評される苦みが味わえます。まさに通に向けたスタイルと言えるでしょう。

ビールの苦味指数である「IBU」が一般的なIPAで40程度、ダブルIPAは70を超えるものが多いです。IBU100以上のものは「トリプルIPA」と呼ばれます。ちなみにラガービールはIBU20前後。

<スタイルDATA>発泡性:中/苦味:強~極強/甘味:弱~中/アルコール度数:7.5~10.5%

イングリッシュIPA

アメリカンIPAとは香味特性が違う、イギリス産ホップを用いるのがスタイルの定義。苦みはある程度控えめで、果実や、花を連想させるような繊細なアロマが印象的。

<スタイルDATA>発泡性:中/苦味:強~極強/甘味:弱~中/アルコール度数:7.5~10.5%

ニューイングランドIPA

2010年代後半にアメリカで生まれた、IPAの新星。ホップの苦みがぐっと抑えられ、フルーツジュースを思わせるような華やかなフレーバーが際立ちます。グラスの向こう側が見えないほどの濁りとクリーミーな質感から、「ヘイジー(Hazy=もやのかかった)IPA」と呼ばれることも。

<スタイルDATA>発泡性:中~強/苦味:微~弱/甘味:弱~中/アルコール度数:4.0~10.0%

次回は、「白」「イギリスの黒」「ベルギー」を一挙に!

次回は、「白」「イギリスの黒」「ベルギー」を一挙に!

 

エール系がどんなスタイルなのかをざっくりつかんでいただけたかと思うので、次回はさらに奥深くまで進んでみましょう。流し読むだけでもいいので、どんな種類があるのか、目を通してみてください。

「白」「イギリスの黒」「ベルギー」に分けて、そのほかの代表的なエール系をどどんと紹介しますよー! お楽しみに。

ビールってどんな酒? vol.6 「エール系 その② ~”IPA”は、クラフトビールブームの火付け役!~」

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