「酔い」と楽しく付き合う ~飲む前&飲み方・食べ方~

お酒の基礎知識

「酔い」と楽しく付き合う ~飲む前&飲み方・食べ方~

「酔い」と正しく付き合って、お酒を楽しく飲むためにはどのようなことを心がければよいか? 今回からは実践編です。

人間の身体に関する研究は日進月歩で、まだまだ「諸説ある」部分も多いです。あくまでも参考程度に、お酒を飲む習慣を整えるのに役立ててみてください。ちょっと心がけるだけで効果を実感できる対策も、たくさんあるはずです。

 

そもそも「酔い」とは何なのか。また、酔い対策の根本的な考え方を前回の記事にまとめておりますので、よかったらぜひそちらも合わせてお読みくださいませ!

「酔い」とは何か? ~楽しいお酒にするために~

 

何を、どの順番で飲むか?

アルコール度数の低い酒からスタート

アルコール度数の低い酒からスタート

 

飲む順番、気をつけてますか? 何となくビールやハイボールから入って、あとはその日の気分、という方が多いんじゃないでしょうか。

実はこの順番もけっこうだいじで、「アルコール度数の低い酒から高い酒へ移行する」というのが正解なんです。理由は、血中アルコール濃度が急激に上昇するのを避けるため。お酒はできるだけ少しずつ飲んだほうがいい、一気飲みは厳禁! ということといっしょに、前回お話しした内容ですね。

炭酸入り&温度の高い酒は吸収が早い

炭酸入り&温度の高い酒は、吸収が早い

 

これも、飲む順番の参考にしたいポイント。同じ濃さなら、ソーダ割りよりも水割りのほうがアルコールの吸収は穏やかなんですね。理由は、炭酸が胃や腸を刺激して動きを活発にするから。

さらに、アルコールは温度が上がると吸収が早くなる傾向があります。日本酒を飲むにしても、いきなり熱燗にいかずにグラスの冷酒などから入って、徐々に温度を上げていくようにしたいところです。

色の付いた酒のほうが二日酔いになりやすい

色の付いた酒のほうが、二日酔いになりやすい

 

これは比較的耳にする機会が多いかもしれません。たとえば同じ度数のウイスキーとジンならウイスキー、ワインの赤白なら赤ワインのほうが二日酔いになりやすい、といった具合。これは、色が付いたお酒のほうが、水とアルコール(エタノール)以外の“コンジナー(不純物)”が多いからだとされています。まあ、このコンジナーの部分が、酒の個性の決め手になるんですけどね・・・。

このことを押し拡げると、ビールやワイン、日本酒などの醸造酒よりも、焼酎やウイスキーといった蒸留酒のほうがコンジナーが少ないので、二日酔いが起こりにくいとも言えます。

一度ここまでの解説を総合すると、“本格焼酎の水割り”が最も酔いが穏やかであるという結論になります。ただ、蒸留とはつまり濃縮することで、醸造酒よりも基本的にアルコール度数が高いです。飲みすぎてしまっては元も子もないので注意してくださいね。

「どう食べるか」も大切にして

君たちは「どう食べるか?」

 

酒を飲んでいるときはほとんど食べない、というのはあまり良くありません。これまた前回の記事の繰り返しになりますが、胃が空っぽの状態だと、アルコールを血中に取り込む役割の大半を担う小腸に、ダイレクトにアルコールが届いてしまうんですね。

だから、お酒を飲むときは何かを食べながら、さらに「何を、どの順番で食べるか」というところにまで配慮できればベストです。

ウコンよりも高カカオチョコor乳製品!

ウコンよりも、高カカオチョコor乳製品!

 

まずは飲む前。よくウコンが挙げられますが、ウコンに含まれるクルクミンは、肝臓が胆汁を分泌するのを促進すると言われています。でも胆汁って脂肪やタンパク質の分解に関わるもので、アルコール分解には実は関係ないんですね。だから酔い対策のウコンに、科学的根拠はあまりないと言えるのです。

それよりも効果的なのは、第一に“カカオ分70%以上の高カカオチョコレート”。カカオは赤ワインの4倍以上のポリフェノールを含んでおり、これが血流・血圧や肝機能の改善に効果があるとされているんです。後述する食物繊維も多く含んでいるので、とても優秀な酔い対策になってくれますよ。

 

牛乳やヨーグルト飲料、カットチーズなどもおすすめ

 

そのほかには、タンパク質と油分が手軽に摂れる、牛乳やヨーグルト飲料、カットチーズなどもおすすめ。よく「牛乳は胃に膜を張ってくれる」などと言いますが、理屈は違えど効果は見込めるようです。いずれもコンビニで買える食品なので、ぜひ実践してみてください。

“スピードメニュー”には、油分と食物繊維

“スピードメニュー”には、油分と食物繊維

 

むしろ「消化が悪い」ものを選ぶのがコツ。胃に長く留まってくれるものを食べておくと、アルコールが胃や小腸の壁から吸収されていくスピードを遅らせることができます。加えて油分を先に摂ると、胃の出口である幽門が閉まり、小腸からのアルコール吸収がさらに穏やかになります。そのほか、食物繊維、タンパク質を多く含む食べ物が悪酔い防止になる、と覚えておくとよいでしょう。

食物繊維を多く含む食品だけピンと来にくいと思うので、例を挙げておくと、野菜ならキャベツ、ごぼう、アスパラガス、セロリ、白菜など。そのほかは、海藻類、キノコ類、豆類、こんにゃくなどにたくさん含まれていますよ。

メニューの例

  • チーズ
  • 魚介のカルパッチョ
  • 野菜スティック(マヨネーズなど油分を含むソース)
  • キノコのバター炒め
  • 枝豆
  • 生キャベツ
  • 冷ややっこ
  • 切り干し大根

 

また、飲む前にお通しをひと口食べておくだけでも酔いにくくなる効果あり。ぜひお試しあれ。

メインメニューでタンパク質を

メインメニューでタンパク質を

 

肉、魚などタンパク質が豊富な食材は、そもそもメインで登場することが多いですね。ほかには、卵や大豆製品なども、積極的に取り入れてみてください。なかでも“ビタミンB群”はアルコール分解を助けてくれると言われているのでおすすめです。

タンパク質とビタミンB群が多いといえば、まずは何と言っても豚肉。そのほか、鮭、うなぎ、カレイ、ブリなどにも豊富に含まれています。

糖質と塩分に注意!

糖質と塩分に注意!

 

逆に、つまみに不向きな食品についても少しだけ解説。

糖質を摂ると、糖質を脂肪に変換する“糖代謝”が起こりますが、これも肝臓の大きな仕事のひとつ。つまり、糖質が豊富なメニューをお酒といっしょに摂ると、アルコール分解と合わせて肝臓に二つのハードワークを強いることになるのです。

塩分も、血圧を上げて肝機能を低下させるので過度な摂取はおすすめできません。この二つを満たし、かつ早食いにもなりがちなラーメンは、実は酔い対策にはかなり不向きなメニューと言えるでしょう。糖質の面では、デザートにも気を配りたいところです。

〆には少しの炭水化物を

〆には少しの炭水化物を

 

とはいえ、肝臓を動かすエネルギー源となる炭水化物は、少しは摂っておきたいところ。複数人で飲む場合にはごはんか麺類を一人前頼んでシェアするか、“少量のごはんと、味噌汁もしくはお茶”を〆の定番にするとよいでしょう。洋系のメニューの場合にはコーヒーが、ポリフェノール豊富で血圧を下げる効果もあるのでおすすめです。

 

今回はここで紙幅が尽きてしまいました。簡単に試せそうなことから、ぜひ取り入れてみてくださいね。

次回は、つい飲みすぎてしまった次の日、つまりあのにっくき二日酔いへの対応策をレクチャー。できるだけ日々快適に飲み続けるための、飲酒計画の立て方も解説しますよー!

 
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